2008年1月18日(金)「しんぶん赤旗」

主張

岩国市長選

米軍再編との重要なたたかい


 米軍再編により空母艦載機の移転が押し付けられようとしている山口県岩国市で、市長選挙が二月三日告示、十日投票で行われます。

 井原勝介市長は、市民の安全を脅かし騒音などの負担を押し付ける艦載機移転に、反対を貫いてきました。移転を強行しようという政府は、市長が反対していることを理由に、約束済みの市庁舎建て替えの補助金を一方的にカットし、自民・公明などの移転推進勢力は、市長が提案した補正予算案の否決を重ねてきました。市長選は、予算成立と引き換えに辞任した井原市長が、改めて民意を問うと表明したのをうけて行われるものです。

市民の願いは移転反対

 岩国市民は一昨年(二〇〇六年)三月の住民投票で米空母艦載機の移転反対の意思をはっきり示し、その直後に行われた市長選でも、移転反対を掲げた井原氏を再選して、移転は許さないという意思を明白にしてきました。市民の意思が三度問われることになる今回の市長選は、今後の移転強行をうち破るうえできわめて重要なたたかいです。

 岩国市民は長年にわたって、岩国基地に駐留する米軍によって生活を脅かされ、騒音などの犠牲に耐えてきました。空母艦載機の移転によって多数の米軍機が新たに配備されることになれば、市民の暮らしがいよいよ耐え難いものになることは明らかで、市民が繰り返し移転反対の意思を示してきたのは当然です。

 井原市長は、この市民の意思に従って移転に反対を貫いてきました。政府は、アメリカいいなりの米軍再編を強行するため、さまざまな脅しと攻撃をかけ、この中で、地震対策としても緊急性がある市庁舎建て替えの補助金について、かつて空中給油機の配備を受け入れた見返りとして支出を続けていたのに、市長が移転反対を表明した途端に中止するという理不尽な攻撃に出ました。

 井原市長は「補助金と、艦載機移転によってもたらされる苦しみとは、取り引きできるような問題ではありません」(『世界』一月号のインタビューで)ときっぱりとした態度を示し、市民は昨年十二月、一万一千人の市民集会を成功させて、抗議と反対の意思を示してきました。

 昨年末の市議会では、「合併特例債」を使った市庁舎建設予算を含む市の補正予算案が成立、市庁舎の建て替えはめどがつきました。

 市長選にあたり自公陣営は、現職の自民党衆院議員を出馬させ、岩国市民に移転を認めさせるためのなりふりかまわぬ攻撃をかけています。市長選は、アメリカいいなりの艦載機移転を、何が何でも市民に押し付けようとする一部勢力と、「移転ノー」の市民の選択の実現を願う、圧倒的な市民のたたかいです。

地方自治いじめ許さない

 井原氏は、市長選出馬の記者会見で「いたずらに不安をあおり、市民を分断し、国や一部の利益を優先する古い政治とのたたかいだ」と、市長選が市民の民主主義と地方自治をまもることを強調しました。

 もともと、「カネでいうことを聞け」といわんばかりのやり方は、市民の意思をふみにじる、絶対に許されないことです。こうした無法が許されるなら、民主主義も地方自治も成り立たないことになります。

 無謀な艦載機移転計画をくい止め、民主主義と地方自治をまもるために、なんとしても井原氏の勝利が求められる選挙です。岩国市民だけでなく、全国的にも大きな政治的意義を持つたたかいです。



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