2008年1月15日(火)「しんぶん赤旗」
マスメディアの現状と「しんぶん赤旗」の役割
全国機関紙部長会議
小木曽・赤旗編集局長代理の発言
1月10日に党本部で開かれた全国都道府県機関紙部長会議で小木曽陽司・赤旗編集局長代理が「マスメディアの現状と『しんぶん赤旗』の役割」について発言しました。その要旨を紹介します。
「しんぶん赤旗」の役割について、二つの点にしぼって発言します。
この新聞でなければ真実は分からない
「『赤旗』で知ったことが、数々ある」と指摘されたしんぶん赤旗のスクープ、キャンペーン |
第一に、マスメディアの多くが、「権力を監視する」「真実を伝える」というジャーナリズムの本来の使命を放棄しているもとで、「闇夜のなかで輝く理性と良心の“たいまつ”」(第24回党大会決定)ともいうべき「赤旗」の役割はいっそう重要になっています。
ことしに入って、ある「赤旗」読者から、「最近の一般紙では、国内外の真実はほとんど分からない。『赤旗』で知ったことが、数々ある」といううれしい手紙をいただきました。
たとえば、昨年12月20日付1面トップの「座間に米新司令部 発足に住民抗議」の記事。米軍再編に対し、自治体・住民ぐるみの反対運動が高まっていることに注目したといいます。
他に、「インド洋給油 調達先 伊藤忠など2社 225億円、随意契約で独占」(同12月25日付)、「県公社発注業者 キヤノン、鹿島指名 随意契約 大分誘致巡り新疑惑」(同12月27日付)のスクープをあげていますが、前者は社会部記者の、後者は日曜版編集部と大分の党県議の調査で明らかになったものです。
手紙は、「世界情勢ではイラク・アフガンをめぐって、各国で脱アメリカ・ブッシュの動きが進んでいること、中南米で反市場主義のうねりが高まっていることなどが分かる。今や『赤旗』でなければ真実はわからない感がある」と結んでいます。
実際、マスメディアの現状をみると、政党といえば自民、民主の「二大政党」、社会保障財源といえば消費税増税しかない、国際社会といえば中心はいつもアメリカといった報道ぶりです。これでは「国内外の真実」は見えてきません。
軍事利権問題でも、政・軍・財の癒着構造に正面から迫っているのは「赤旗」だけです。
広島県尾道市の地域新聞「山陽日日新聞」が12月1日付1面トップで「群を抜く『赤旗』の報道」という記事を載せ、話題になりました。「赤旗」の連載記事「腐敗の聖域 軍事利権を追う」に注目、「今回の事件は、官僚の接待疑惑事件ではないと本紙は初めから指摘してきたが、今後の進展のカギも『赤旗』報道が握っている」と書いたのです。この記事を「赤旗」12月6日付で紹介すると、「山陽日日」はすかさず翌7日付で「『赤旗』の四面に『山陽日日新聞』が… 『赤旗』評価を『高く評価』」という記事を載せました。
なぜ「赤旗」に注目するのか。こう書いています。「本来なら、今回の事件はアメリカ本国へ飛び火し、『逆ロッキード事件』が事件の本質であるべきだが、そういう進展を期待することは日本のメディアでは無理だ。記者はそういうことを言いたいのであり、その部分こそ赤旗と最も共感共鳴するのではないかと思っている」
総選挙を控え、マスメディアはよりいっそう「二大政党」報道に傾斜するでしょう。「赤旗」を読まなければ「国内外の真実」がわからないという状況がいっそう強まっていくことは間違いありません。
現実の政治を動かすスクープ・キャンペーン
第二に、「赤旗」のスクープ、キャンペーンは、党のとりくみや国民の運動ともあいまって、現実の政治を動かしているということを強調したいと思います。
「局面を一変させた」とマスメディアにいわせ、政界に大きな衝撃を与えた昨年1月3日付の事務所費スクープ。靖国参拝問題では、右派雑誌が、「遊就館批判が国内外に一般に広まるのは、去年(05年)の5月になされた不破哲三共産党中央委員会議長の時局講演会とそれに続く『しんぶん赤旗』の報道を契機としてである」と書いたとおりです(『諸君』06年4月号)。
30人の宗教者が次々と登場し、平和への思いを語るなど、「9条守れ」を掲げる唯一の全国紙として精力的キャンペーンを続けてきた「赤旗」。「9条の会」の運動ともあいまって、世論を劇的に変化させ、改憲派のスケジュールを大幅に狂わせました。
偽装請負の告発、是正のたたかいは、「赤旗」日曜版の告発キャンペーンから始まりました。グッドウィルや佐川急便子会社、西武運輸の二重派遣など違法行為の告発も行政を動かしています。
大企業の横暴、無法の告発は「赤旗」ならではのものです。インターネット上の百科事典(「ウィキぺディア」)でも、「赤旗」は、「広告収入に依存しないしがらみの無さこそが、逆にスポンサーに左右されず、有力企業・団体のスキャンダルや社会問題に対する批判的報道にも正面から取り組める強みとなっており…」と評されています。
「赤旗」の“強み”の源泉は、綱領と歴史、そして草の根の組織にあります。「赤旗」は2月1日、創刊80周年を迎えます。節目にふさわしい紙面の充実と改革への決意をのべて、発言とします。