2008年1月14日(月)「しんぶん赤旗」
中国の外貨準備1.5兆ドル
日本の1.5倍
【北京=山田俊英】中国人民銀行(中央銀行)が十一日発表した金融報告によると、二〇〇七年末の中国の外貨準備高は一兆五千三百億ドルとなり、貿易黒字の拡大を背景に、前年末比43・3%増加しました。巨額の貿易黒字拡大は各国との貿易摩擦だけでなく、投機の過熱など中国経済にひずみをもたらしています。中国政府はあらためて輸出の抑制や内需拡大による輸入促進を迫られます。
貿易摩擦や投機の過熱
経済にひずみも
中国の外貨準備は〇六年、日本を抜いて世界最大になりました。〇七年末の額は日本の一・五倍にあたります。
〇七年の中国の貿易黒字は二千六百二十二億ドルで、過去最高を更新。人民元の対ドル相場の上昇にもかかわらず、〇六年の千七百七十五億ドルから47・7%の大幅増加でした。
中国人民銀行は貿易黒字の拡大によるドル流入に対して、ドルを買って人民元を売る市場介入を続けており、これが外貨準備高を押し上げています。
ドル買い介入は市場に過剰な資金を流し、株や不動産への投機の原因となっています。国家発展改革委員会が昨年十二月に発表した十一月の新築住宅販売価格は全国七十都市平均で前年同月比12%、北京では17%の上昇でした。不動産投機が市民の生活を圧迫しています。
ドル建ての外貨準備が増えすぎると、ドル急落の場合、損失をこうむることにもなります。
中国政府はこれまで、一部製品の輸出にかかる増値税(付加価値税)の還付率引き下げや、新たな輸出税適用など輸出抑制策をとってきました。貿易黒字の〇七年の増加幅は〇六年の70%から鈍化しています。
しかし、依然として黒字が高い水準にあり、〇八年には三千億ドルを突破すると予想されています。今後、米国は人民元に対する切り上げ圧力を強めるとみられます。