2008年1月13日(日)「しんぶん赤旗」
国会の視点
「ねじれ国会」実際は…
自公民の悪法強行も
臨時国会 民意が実った法律
十五日に会期末を迎える臨時国会。参院の与野党逆転状況から、福田康夫首相は、「国会はいわゆる『ねじれ現象』となり、世界のスピードに合った運営ができていないというのが現実です」(「自由民主」一月一・八日合併号)などと嘆いていますが、実際にはどうだったのか。
今国会で成立した法案は二十六件にのぼります。衆院再議決で強行された新テロ特措法などの悪法も含まれますが、日本共産党が賛成した十九件(約七割)は国民生活にとってプラスになるものです。
そのなかには、関係者の長年の努力と切実な願いが実った法律も少なくありません。
一つが、改正被災者生活再建支援法です。被災者への支援が住宅本体の再建にも広げられました。これは一九九五年の阪神・淡路大震災以来の被災者の悲願であり、日本共産党も当時から被災者とともに繰り返し実現を求めてきました。
当初、政府は、二〇〇八年の通常国会に法案を提出する予定でしたが、参院選挙後、民主党が改正案を提出したのをうけ、与党も提案。日本共産党は、志位和夫委員長がすみやかに成案を得るよう与野党間協議をよびかける(昨年十月十八日)など、住宅本体支援を盛り込んだ改正が実現するよう積極的に発言してきました。
薬害肝炎被害者救済法、改正「中国残留孤児」支援法も関係者の長年のたたかいが全会一致での可決となって実りました。
参院選で自公政治に厳しい審判を下した国民の民意が、その後の政治に強い圧力となって働いたのです。
新テロ特措法も、参院では、政府提出の派兵法案としては初めて否決され、ここにも民意が示されました。
志位委員長は十日の記者会見で「国民の審判という圧力のもと、与党も世論を無視する行動はとれず、民主党も(参院選で)『反自公』を掲げた以上、その公約に縛られる状況がある」「国民の声が政治を動かす新たな条件が生まれた国会だった」と振り返りました。
もうひとつの特徴は、日本共産党の反対にもかかわらず成立した法律が、新テロ特措法を除き、すべて与党と民主党が賛成して成立したということです。
「大連立」騒動に象徴されるように、表面での「対決」の裏で「政策協議」の名での談合政治が始まり、悪法を自公・民主の合作で強行する動きが強まっています。
一例が、使用者が一方的に労働条件を引き下げることができる労働契約法の強行。「改正」政治資金規正法は、収支報告書への不必要な「監査」の義務化や「適正化委員会」の設置など、税金のムダ遣いにつながる規定を盛り込み、政党助成金の支出の全面公開や企業・団体献金の問題には触れていません。
「ねじれ」ているのは、自民、民主の「二大政党」と国民の利益です。基本路線では同じ立場に立つ「二大政党」によって、派兵恒久法の早期整備などを盛り込んだ民主党のテロ特措法案も、会期末十五日の衆院本会議で、与党の賛成で「継続審議」にされようとしています。(藤原 直)
成立した主な法律
○日本共産党が賛成
・薬害肝炎被害者救済法
・改正被災者生活再建支援法
・改正「中国残留孤児」支援法
・厚生年金特例法
・犯罪利用預金口座被害回復分配金支払法
・改正身体障害者補助犬法
・改正温泉法
・改正行政書士法
・改正消費生活用製品安全法
・改正電気用品安全法
・改正銃刀法
・鳥獣被害特措法
○日本共産党は反対
・新テロ特措法・労働契約法
・改定最低賃金法
・改定放送法
・改定政治資金規正法
・改定社会福祉士・介護福祉士法
・改定借地借家法