2008年1月13日(日)「しんぶん赤旗」

主張

08国民春闘

貧困と社会的格差の是非を


 昨年は、貧困と社会的格差の広がりに対し、社会的連帯による国民的反撃が開始され、まだ端緒的とはいえ、いくつかの重要な成果をあげました。国民の声で政治が動く新しい情勢のもとではじめてたたかわれる今春闘で、この流れをさらに大きくしていくことが期待されています。

存在感示した労働組合運動

 貧困と格差の最大の要因である非正規労働者の問題では、全労連・JMIU光洋シーリングテクノの青年労働者が、ついに正社員化を勝ち取りました。連合・私鉄総連は、秋季年末闘争で「非正規社員の正規雇用化」をかかげ、前向きの回答を引き出しました。非正規の組織化で、労働組合員数は十三年ぶりに増加に転じました。

 最低賃金では、ほぼ十年ぶりに二ケタ台の時給引き上げを勝ち取り、人事院勧告も八年ぶりの改善勧告となりました。これらは、〇七春闘で久々に見えてきた賃上げの流れの反映といえます。「行革」路線の枠を突破し、教員定数増も勝ち取りました。

 民主党が、最賃法修正で全国最低賃金と生計費原則を投げ捨て政府・与党と妥協するという逆流もあったものの、改定された法律に「健康で文化的な最低限度の生活」との文言を加えさせました。

 これらの成果は、貧困と社会的格差を拡大した弱肉強食の「新自由主義」的構造改革にたいする国民的批判の高まりを土台に、労働組合運動の存在感を示したものといえます。

 大企業は、「先行き不透明」「国際競争力の強化」を言い立てていますが、日本経団連も、「経済の先行きに不透明感がある中、わが国の安定した成長を確保して行くには、企業と家計を両輪とした経済構造を実現する必要がある」と述べざるをえないのが、日本経済の現状です。

 〇一年度から〇六年度までの五年間で、大企業は経常利益を十五兆三千三百三十七億円から三十二兆八千三百四十二億円へと二倍以上も伸ばしています。同じ期間に、労働者の年間給与は十九・一万円も減りました。まさに家計を犠牲にした企業の一人勝ちです。

 大企業は、二百十七兆八千二百三十五億円もの膨大な内部留保をため込んでいます。賃上げのために多少取り崩したからといって「国際競争力」にはなんの影響もありません。むしろ、「日本経済新聞」(一月五日付社説)でさえ警告したように、株価が国際的に見て割安なもとで「潤沢な資金と技術力を狙ったM&A(合併・買収)の対象になるだけ」という状況こそ問題です。

 全労連も連合も共通して、最賃をはじめ賃金の底上げと改善、非正規労働者の処遇改善と正社員化、労働者派遣法の改正、長時間労働の是正をかかげています。これらの実現は、貧困と格差の拡大にストップをかけ、個人消費拡大、内需拡大の原動力になり、日本経済を健全に発展させることになるでしょう。

政治闘争との結合を

 同時に、この間の税・社会保険料の引き上げも家計を直撃してきましたし、今後も負担増がたくらまれています。対政府闘争、制度・政策闘争がいっそう重要性を増しています。

 海外派兵反対、米軍基地再編・強化反対など平和闘争、憲法改悪反対闘争が大きく前進したのも昨年の特徴でした。その先頭には、いつも労働組合の旗がありました。

 経済闘争と政治闘争とが結びつけば、大きなエネルギーが生まれます。意気高くたたかいましょう。


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