2008年1月10日(木)「しんぶん赤旗」

政府の大企業中心「成長」戦略 破たん

家計応援へ いま転換を


 「経済政策の軸足を、大企業から家計・国民へと大胆に転換させるべきではないでしょうか」―日本共産党の志位和夫委員長は四日の党旗びらきで、こう呼びかけました。商業メディアも、二〇〇八年の政治の課題として、“家計の元気回復”を焦点にし始めました。(山田英明)


メディアも指摘

 読売新聞は五日付社説で、「家計の元気回復を急ぎたい」との見出しを掲げ、「企業部門と並ぶ経済のエンジンである家計部門の元気を増すことだ」と主張しました。

 朝日新聞は六日付社説で、「企業収益頼みの単発エンジン型では景気を支えられなくなったのだ」と述べ、「家計の個人消費を加えて双発エンジン型にできるかどうか。それが問われている」と強調しました。東京新聞も六日付「生活図鑑」面で、日本の貯蓄について「家計は細り、厚み増す企業のサイフ」とした特集を掲載しました。

 大企業優先の経済政策では、日本経済が立ち行かなくなったとの認識を商業メディアも示し始めました。

家計指標が悪化

 家計をめぐる各種の指標は軒なみ悪化しています。国税庁の民間給与実態統計調査(〇六年)によると、サラリーマンの平均給与は九年連続で減少しています。農業経営統計調査(農水省)では、コメ作り農家の家族労働報酬(〇六年)は一日当たり二千四十六円、時給換算では、わずか二百五十六円にすぎません。

 厚労省の調査では、雇用の先行きを示す新規求人数(〇七年十一月)が十一カ月連続で悪化しています。

 その一方で、法人企業統計調査(財務省)によると、大企業(資本金十億円以上)の経常利益は、バブル期を超える過去最高を更新し続けています。リストラ・「合理化」による経費削減と、自民・公明政権による大企業優遇税制の恩恵によるものです。

政府さえ認める

 自民・公明政権はこれまで、景気の先行きについて、企業部門の好調さが「家計部門へ波及(する)」(月例経済報告)としてきました。これが、大企業応援政治を続ける口実にもなってきました。

 ところが、昨年十二月の同報告では、〇五年八月以来続けた「家計部門へ波及」という表現を削除しました。

 企業部門は引き続き「底堅く推移」しても、雇用は「改善に足踏み」、消費は「おおむね横ばい」、物価は「購入頻度の高い品目でプラス」―。同報告が示された関係閣僚会議には、家計部門の悪化を示す項目がずらりと並びました。

 昨年十二月十四日に内閣府が公表した「日本経済2007―2008(ミニ経済白書)」でも、「好調だった企業部門」の一方で、「景気回復の波及が遅れた家計部門」について分析せざるを得ませんでした。家計の所得が改善せず、税と社会保障の家計への負担は重くなっているからです。

 「大企業が栄えても、国民生活はよくならない―この事実を政府も認めざるを得なくなった」「大企業中心の『成長』シナリオは破たん」(志位委員長)したのです。

国民主権発動を

 それならば、経済政策の軸足を大企業応援から家計応援へと大胆に転換すべきです。ところが、福田内閣がやろうとしているのは、相変わらずの大企業応援政治です。

 福田内閣が昨年十二月二十四日に閣議決定した〇八年度予算政府案には、社会保障関係費の自然増を今後も毎年、二千二百億円ずつ圧縮し続けることが盛り込まれました。一方、大企業優遇税制のいっそうの拡充をうたっています。そして、社会保障の抑制で国民を“兵糧攻め”にし、消費税増税への「橋渡し」までしようとしています。

 政府・与党に、家計を応援する政治への転換の意思がないなら、貧困を打開し、国民の暮らしを守るために「国民が主権を発動して転換させる」(志位委員長)ことが大切です。

グラフ


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