2008年1月8日(火)「しんぶん赤旗」
大阪府 赤字3500億円隠し
巨大開発・同和事業が原因
自民・公明・民主が推進
日本共産党は中止主張
昨年末に表面化した大阪府の三千五百億円の「赤字隠し」。返済期限が来ている府債(借金)の返済を先送りしていたものです。この操作で借金返済のための基金の目減りを防ぎ、赤字を少なく見せかけていました。府は「財政再建団体」転落回避のためだったとしています。財政赤字の原因、これをどうするのか、十日告示の府知事選で大きな焦点の一つです。
表面化した府の「赤字隠し」は二〇〇四年度から〇七年度までの三千五百億円ですが、大阪府の府債残高は現在四兆九千九百億円(〇七年度見込み)、府民一人当たり五十六万円余にのぼります。
府の借金は一九九〇年代に大きく膨らみました。九一年度末は一兆三千四百十五億円でしたが、二〇〇〇年度末には四兆六百九十五億円と、三倍になっています。
その大きな原因は、不況などにより府の税金収入が減少する中で、国いいなりに借金に頼った公共事業を大幅に増やしたことにあります。
九二年の宮沢内閣以来、国は数次にわたる景気対策を地方自治体に押しつけてきました。大阪府は九二年度から九六年度の五年間の合計で、税収は年平均20%減っているのに、公共事業は年平均40%増やしました(表参照)。
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その結果、公共事業の財源の約六割、一兆六千億円余りは借金でまかなわれました。(九一年度の借金は二割)
九六年八月に府が発表した「財政健全化方策案」でも、財政危機の原因を「数次にわたる景気対策にともなう単独建設事業や関西国際空港関連整備」と、りんくうタウン・コスモポリス・国際文化公園都市などの企業呼び込み型開発と指摘していました。
二〇〇〇年に登場した太田房江知事も、飛行機の離着回数を過大に見積もり、二本目の滑走路を建設する関西空港二期事業を継続。二〇〇〇年から〇六年度までで六百七十億円もの資金を無利子で関空会社に融資し、府は八十五億円もの利子を銀行に負担しています。
いったん中断が検討された「水と緑の健康都市」開発や安威川利水も、与党の自民党や民主党の圧力で再開されました。「水と緑の健康都市」開発などは七百五十億円もの赤字が最初から予定されています。〇二年三月で国が終結した同和事業も毎年四十億円から五十億円を投入しています。
こうした借金に頼った無駄な大型開発の中止・見直しを求めてきたのは日本共産党だけです。宮原威党府議団長は、「財界の要求にそって公共事業の急増を大阪府に押しつけた国、それに追随した大阪府、そしてこれをあおった自民・公明・民主などの与党の責任が問われている」と指摘します。
「明るい民主大阪府政をつくる会」の梅田章二氏は「財政危機だからこそ府民に情報を公開すること、巨大開発見直しと同和事業終結、資本金十億円以上の大企業の税負担を少し増やすことなどが大切です。税金の無駄づかいをなくし、府政をおおもとから切りかえることこそ、府民本位の財政再建の道です」と主張しています。