2008年1月7日(月)「しんぶん赤旗」
年間死傷率が17%
イラク治安部隊 「脱走者」も増加
米国防総省報告
【ワシントン=山崎伸治】イラク駐留米軍は「増派」によって武装勢力の集中的な掃討作戦を行う一方、治安維持任務のイラク側への移譲を進めています。その結果、イラク治安部隊の人員は増えていますが、問題も抱えています。
国防総省が三カ月に一度、議会に提出しているイラクの安定と治安の評価に関する報告書(二〇〇七年十二月)によると、イラクの警察部隊、イラク軍、対テロ部隊で訓練を受けた要員は昨年十一月十五日現在で約四十四万人。これは同年九月と比べて八万人、一年前と比べて十二万人も増えています。訓練も配属もされていない要員を含めると約五十六万人にものぼります。
報告書は警察部隊を監督する内務省で「腐敗や宗派的な振る舞いが引き続き顕著だ」と問題点も指摘。昨年九月からの三カ月間に百九十五人の警察官が「非正規軍の活動や汚職」で解雇されたとしています。
要員は当然ながら危険にさらされます。報告は警察部隊、イラク軍の年間「損耗率」(死傷者の割合)は17%にのぼり、その理由として「多国籍軍部隊よりも死亡率が二―三倍も高い」と指摘しています。その結果、任務を放棄した「脱走者」は昨年二万一千人にものぼるなど、「士気」の低さがうかがえます。
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