2008年1月6日(日)「しんぶん赤旗」

米原潜 日本寄港48回

07年 沖縄・ホワイトビーチ過去最多

日米放射能密約の判明 太平洋重視の配備


 二〇〇七年の米海軍攻撃型原子力潜水艦の日本への寄港が十二隻四十八回に上っていることが、寄港地を抱える自治体の集計で分かりました。このうち沖縄県うるま市のホワイトビーチへの寄港が二十四回(〇六年比で八増)と急増し、過去最多を記録しました。そのほか神奈川県の横須賀基地が十三回(同一減)、長崎県の佐世保基地が十一回(同五減)。全体では隻数で四減ですが、回数では二増で、ここ数年の五十回前後の水準を保っています。


 〇六年は、横須賀に寄港した原潜ホノルルの出港時に放射性物質が検出され(九月)、大きな問題になりました。〇七年は、横須賀やホワイトビーチに寄港した原潜ハンプトンが七カ月間の西太平洋での航海で、毎日実施すべき原子炉内の放射性物質などの検査を一カ月以上にわたって行わず、そのことを隠すため記録をねつ造していたことが判明(十月)。安全管理の極めてずさんな実態があらわになりました。

 米海軍の原子力艦船が日本に寄港する際、艦の五十メートル以内では空中の放射能汚染の監視(モニタリング)を行わないという密約を日米両政府が一九七一年に結んでいたことも、国際問題研究者の新原昭治氏が入手した米政府解禁文書で明らかになりました。

 米政府や米海軍は〇八年の原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備を狙い、原子力艦船の「安全性」を強調していますが、その根拠のなさが改めて示されました。

 〇七年一月には、アラビア海のホルムズ海峡で原潜ニューポートニューズが日本の大型タンカー(川崎汽船の「最上川」)に接触する事故も起きました。

 米国の権益確保のためとして保有潜水艦の60%を太平洋地域に配備するという米国防総省の戦略(〇六年二月の「四年ごとの国防計画見直し」)を具体化する動きは〇七年も進み、日本はその重要拠点になっています。

 大西洋艦隊所属だったシーウルフ級攻撃型原潜シーウルフと同コネティカットが〇七年、太平洋艦隊所属に移行しました。日本に寄港したコネティカットは、海上自衛隊との大規模な共同演習(十一月)に参加。前出のハンプトンも大西洋艦隊から太平洋艦隊へ所属が変更になりました。大西洋艦隊所属のプロビデンスも日本への寄港を繰り返しました。

 佐世保、ホワイトビーチへの寄港の多くが一時間未満の短時間だという特徴は、〇七年も同様でした。佐世保は十回中五回(ほかに七十一分が一回)、ホワイトビーチは二十四回中十七回でした。

 米攻撃型原潜の任務は▽巡航ミサイルによる対地攻撃▽対潜・水上戦▽特殊部隊の投入・回収▽情報・監視・偵察活動―などです。短時間の寄港は補給のほか、特殊部隊や偵察部隊の要員の輸送、通信傍受などによる極秘情報の伝達などを行っているとみられています。

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