2008年1月4日(金)「しんぶん赤旗」

八ツ場ダム 随意契約の実態

天下り先 ごっそり

受注5社にOB11人


 国土交通省が発注する八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)関連事業で、同省からのOB天下りを受け入れた公益法人と企業が、競争入札を行わない随意契約で多数の業務を受注していたことが、本紙の調べでわかりました。公平性、透明性で問題を指摘されている契約方法で公共事業を発注する実態が浮き彫りになりました。


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 八ツ場ダムの関連事業は、同ダムにかかわるコンサルタント業務や広報活動、清掃業務です。

 同省が随意契約で発注した関連事業十九件(二〇〇六年度)のうち、天下りを受け入れた五社が十一件を受注しました。この五社には、〇三年から〇五年の間に同省OB十一人が天下っています。契約額は、十九件の総額六億二千五百万円のうち三億三千七百六十万円を占めています。

 二人が天下った社団法人関東建設弘済会(理事長は旧建設省事務次官)は、相談センターの受け付け業務など四件一億二千六百六十三万円を随意契約で受注しました。同弘済会は国交省OBの天下りについて「行政経験を生かしていただき、より建設行政に貢献させていただくために受け入れている」と話し、随意契約の多さについては「発注者でないので承知しかねる」と回答しました。

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(写真)道路の付け替えなど、関連工事がすすむ八ツ場ダム建設予定地周辺絞群馬県長野原町

 財団法人ダム水源地環境整備センターは、ダム関連の各種検討委員会の運営、「水環境」の調査立案業務三件九千六百六十万円分を請け負っています。同センターは、元国交省河川局長が理事長をつとめるなど四人が天下っています。

 随意契約の多さについて国交省関東地方整備局八ツ場ダム工事事務所は「専門性があるなどで随意契約となっており、天下りとは関係がない」とコメントしています。しかし事業には、工事事務所や独身寮での清掃・まかない業務といった「専門性」と関係ないものも含まれています。


 八ツ場ダム 国の総事業費は四千六百億円。利水、治水が目的ですが、過大な水需要予測、「二百年に一度」の大洪水対策という根拠に無理があるなど、六都県で建設差し止めの住民訴訟が行われています。ダム本体の工事は未着手で二〇一〇年度に完成する計画を国交省は昨年、五年延長を発表しました。

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