2007年12月31日(月)「しんぶん赤旗」

主張

越年国会

悪法のごり押しは許されない


 いよいよ大みそかを迎えました。例年と違い、年末・年始も国会が開かれている、異常な越年国会のもとでの年越しです。

 政府と与党は、年明け早々にも、アメリカの「報復」戦争を支援するために自衛隊のインド洋での給油活動を再開する、新テロ対策特別措置法案を成立させようとしています。党略的な大幅会期延長や衆院での再議決で悪法の採決をごり押しするのは、許されないやり方です。

自民・公明の横暴

 国会が開会したまま年を越す越年国会は、最近では一九九三年から九四年にかけ、当時の細川内閣が、衆院の選挙制度に小選挙区制を導入するなどの「政治改革」法案をごり押しするために行って以来十四年ぶりです。臨時国会の会期が二度にわたって延長されたこと自体、消費税導入とリクルート疑惑で各党が対立した、一九八八年十一月以来という事態です。いずれの場合も国民の同意していない悪法をごり押しするため行われたもので、党利党略の異常事態だったことは明らかです。

 今回、臨時国会の会期が二回にわたって延長され、異常な越年国会となっているのも、福田政権がアメリカの戦争を支援する新テロ法案を何が何でも成立させようとしているためで、国民が望んだからではありません。それどころか、どの世論調査でも国民の多くが給油の再開や、今国会での法案の成立強行に反対しています。にもかかわらず、福田政権は、福田康夫首相がアメリカのブッシュ大統領に誓った新テロ法案成立の約束を果たすため、異常な国会運営を続けているのです。

 これまでの審議を見ただけでも、自衛隊のインド洋での給油再開が、テロをなくすどころか世界各地に拡散しているアメリカの無法な「報復」戦争を助けることになるのは明らかです。それは、テロや紛争を平和的・外交的に解決するのを妨げるだけです。日本の給油がアフガニスタンの罪のない住民を殺りくするために使われ、それどころかアフガニスタンとは関係のないイラク攻撃などに転用されているという疑惑も解消されていません。

 与党の自民・公明両党は、年が明ければ早々にも参院の外交防衛委員会でテロ新法の採決を求め、参院で否決されても、衆院で三分の二以上の賛成で再可決すれば成立させられると主張しています。あるいは、一月十二日になっても参院が法案を採決していないときには、「否決されたとみなす」という規定にもとづいて、衆院で再議決のうえ成立という手続きをとるとしています。

 悪法を成立させるために、何が何でも“数の力”で押し通すというのは民主主義にたいするじゅうりんであり、絶対に容認できません。自衛隊の給油活動再開に反対する世論を高め、悪法のごり押しを許さないことが重要です。

撤退させた国民世論

 もともとアメリカのアフガニスタンでの「報復」戦争を支援するためのインド洋での自衛隊の給油活動は、参院選挙で敗北した政府がテロ特措法の延長法案を出すこともできず、十一月一日で期限切れとなったものです。インド洋に派兵されていた自衛艦は帰国しました。

 自衛隊を撤退させたのは、主権者・国民の意思であり、それに逆らって派兵を再開しようとすること自体、国民への挑戦です。年明け早々の国会で、新テロ法案を廃案に追い込むために、国民の世論と運動を強めようではありませんか。


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