2007年12月29日(土)「しんぶん赤旗」

主張

地方の再生

地域経済の衰退にストップを


 今年は、政府や財界が「戦後最長の景気」をうたうなかで、地域経済の疲弊がすすみ、「地方の再生」が大きな課題となった一年でした。

 福田首相は、「地方の再生に向けた戦略を一元的に立案」、「地方再生への構造改革」(所信表明)をかかげています。しかし、地方に犠牲をかぶせる「構造改革」路線の基本は継続し、さらに「地方分権の総仕上げである道州制の実現」(同)などと、いっそう地方自治を縮小する危険な政策を強化しようとしています。

大企業優遇政策のツケ

 四月の地方選挙に続く七月の参議院選挙では、小泉内閣と安倍内閣の「構造改革」路線による貧困と格差の拡大にたいして、国民の批判が地域から高まり、自民党と公明党は大敗しました。

 地域経済の深刻な実態は、最近の調査や経済指標から明らかです。

 日銀の最新の「地域経済報告」(十月)によると、北海道、近畿、九州・沖縄の景気判断を下方修正しました。一度に三地域を下方修正したのは調査開始以来初めてです。東北、北陸などの農村も、米価の暴落で深刻な事態になっています。

 全国商店街振興組合連合会の調べによると、商店街の空き店舗数は一段と増えており、一商店街での比率は9%と、調査開始以来最高です。小規模企業の倒産も、今年上半期(一〜六月)には、前年同月比30・9%も増えています。有効求人倍率(求職者一人当たり求人数)も、地域格差が広がり、固定化しています。

 最近の地域経済の特徴は、東京など一部の大都市圏とその他の地域との格差が広がっていることです。これは、史上最高の利益をあげている大企業の本社が東京などに集中していることに加え、これらの地域に国の大企業優遇政策の恩恵が集中していることを背景にしています。

 自公政府の「構造改革」路線のもとで、都市再開発や大型開発公共事業の資金が東京など一部の大都市部に集中的に投下されてきました。これとは逆に、地域の生活道路、住宅整備、学校の耐震化など、いのちとくらしをささえる生活密着型の公共事業は大幅に削減され、地域の雇用を縮小する要因になっています。大都市圏とそれ以外の地域の格差拡大の大きな原因です。

 さらに、全国の自治体では、大企業誘致のための補助金や減税制度の新設・拡充など、大企業への露骨な税金の“ばらまき”競争がおこなわれています。これらの予算のむだづかいは、地方財政の破たんに拍車をかけるだけで、地域の雇用の拡大には、ほとんど役立っていません。

 地域経済の衰退にストップをかけるためには、国の経済政策を大企業奉仕から国民本位へ転換させるとともに、地域住民の立場に立って地方自治体の役割を大きく発揮させることが強く求められています。

「住民が主人公」の立場で

 日本共産党は、四月の地方選挙政策のなかで、地域社会の崩壊を食い止め、活性化に向かうために、「不要不急のむだな大型公共事業をやめさせ、生活密着型に転換」、「地域経済の振興と雇用の支援」、「農林漁業の建て直し」、「中小企業向け予算の増額」など、地域の産業と雇用の具体的な振興策をかかげて、全力でたたかいました。

 地域の衰退は、住民の暮らしにとって深刻なだけでなく、環境や国土の保全にとっても重大問題です。「住民が主人公」の立場で住民とともにたたかい、「地方の再生」を大きく前進させることが求められます。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp