2007年12月28日(金)「しんぶん赤旗」

労働関係委の刷新要求

「企業寄り」と労働者側

米国


 米国の労資関係を調整する政府の「全米労働関係委員会」(NLRB)。ブッシュ政権のもとで、そのメンバーに労働者の利益よりも経営者側の利益を守る人物が指名され、労働法制が次々と改悪されてきました。労働組合や関係者は公正なNLRBの確立を求めて運動しています。(ワシントン=山崎伸治)


次つぎ基本権奪う決定

写真

(写真)労働組合の結成に経営者の介入を防止する法案の成立を求めて、米議会前で開かれた集会=6月19日、ワシントン(山崎伸治撮影)

 「NLRBによる最近の決定は、米国の労働法における不吉な新しい方向性を反映している」―米国の労働法学者五十八氏は十二日、連名で議会に送付した書簡で指摘しました。「(NLRBが)保護を義務付けられている法的権利、すなわち労組を結成し、団体交渉を行うという労働者の権利を次々と否定ないしは弱体化してきた」と批判しています。

 その「最近の決定」の一つは労組結成に関するもの。従来、職場の過半数の労働者が認めれば、経営者側は労組の結成・加盟を受け入れなければなりません。ところがNLRBは九月末、経営者側がいったん労組結成を認めても、職場の労働者の30%の反対署名があればそれを覆せるという新たな決定を下しました。

 つまり、経営者側が30%の労働者を組織できれば、過半数の賛成で決まった労組結成も反故(ほご)にできるということになります。これはNLRBが一九六六年に下した決定を転換するものです。

 このほかNLRBは九月中に約六十の決定を下しました。米国最大のナショナルセンター、米国労働総同盟産別会議(AFL・CIO)は「その多くが労働者から職場における基本的な権利を奪うものだ」と非難。十一月には、全米二十都市以上でNLRBの刷新を求める抗議行動を繰り広げました。

 十二月十三日には上下両院の委員会が合同で公聴会を開催し、NLRBのバティスタ委員長は「九月の決定は政治的なものではない」と弁明。民主党のケネディ上院議員は一連の決定が「米国の労働者の擁護を弱体化する結果となっている」と批判しました。

 NLRBの五人の委員は大統領が指名し、上院が承認します。現在は共和党が多数派(三人)を占めています。バティスタ委員長(共和)の任期は今月十六日で終了。あと二人の委員(共和および民主)は大統領の「休会中任命」で上院の承認は受けておらず、新たな指名が最大三人になる可能性もあります。


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