2007年12月28日(金)「しんぶん赤旗」
京都市教委が違法支出
前教育長に7200万円返還命令
地裁判決
京都市教委がおこなった研究委託事業で、学校長らが推薦する教職員へ教材費などを支給したのは給与の二重払いだとして、市民らが市教委幹部に返還を求めるよう桝本頼兼市長に求めた訴訟の判決が二十六日、京都地裁でありました。判決は事業そのものが違法とみとめ、門川大作・前市教育長(京都市長選挙に立候補を表明)に、二〇〇二年度と〇三年度に支給した全額七千百六十八万円の返還を命じ、市教委幹部への賠償責任も求めました。市は控訴するとしています。
市教委が、〇一年度から〇五年度に実施した「教育改革パイオニア実践研究事業」では、図書費など五万円を上限に、約二千五百人に計約一億二千七百万円を支給していました。委託事業をめぐり、教員十九人が領収書を偽造していたことも明らかになっています。
判決では、門川氏が「教員の業務と委託事業との区別は困難であることを認識していた」とし、「給与条例主義に反する違法な支出をさせた」と指摘しています。
「いま正義を・京都市政を刷新する会」の出口治男代表(『弁護士の会』会長)は二十七日、違法公金支出の判決を受け声明を発表しました。
声明では「先の最高裁での同和奨学金にかんする判決に続き、京都市の教育行政の問題点と違法性をあらためて示したもの」と指摘。市教育行政の責任者として、門川前教育長の責任は重大と強調し、市政刷新の重要性がいっそう明らかになったと述べています。
判決に従え
党市議団が談話
今回の判決を受け、日本共産党京都市議団(山中渡団長)は二十七日、談話を発表しました。
このなかで、党市議団が昨年の市議会でも、研究委託費の不当性を指摘し、事業の全容公表と中止を求めてきたことを指摘。当時、「通常の財政執行として、一つの形式として認められる」とした市教委のやり方があらためて違法と断定されたと強調し、市は控訴せず、門川前教育長に返還請求手続きをただちにとるよう求めています。