2007年12月27日(木)「しんぶん赤旗」
10年で8万戸削減
都市再生機構 さらに23万戸も
独立行政法人「都市再生機構」(本社・横浜市、小野邦久理事長)は二十六日、現在七十七万戸ある賃貸住宅ストックのうち、当面十年間で八万戸を削減することなどを内容とした「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」を発表しました。
これは、「すべての賃貸住宅団地を対象に、削減目標や団地ごとに建て替え、リニューアル、規模縮小、売却等の方向性を明確にした再編計画を2007年内に策定」とした二十四日の閣議決定「独立行政法人整理合理化計画」の内容に沿うものです。
「再編方針」では、さらに四十年後の二〇四八年には、現在のストックの三割、二十三万戸程度を削減、五十万戸程度にスリム化することを明記しています。
この流れは、六月に閣議決定された「規制改革推進のための3カ年計画」で明らかにされた(1)削減計画を明確にせよ(2)収支率の悪い(赤字に近い)団地は削減せよ(3)余剰地を民間に売却し、資産圧縮せよ―などの財界・大企業の要求を丸のみするものです。
また、本紙が六月にスクープした「20万戸削減計画」を具体化した機構内部文書にも見合ったものとなっています。
解説
公共住宅政策の充実こそ
政府は二十四日、閣議決定した「独立行政法人整理合理化計画」で、都市再生機構(UR)について、民営化を含めた組織見直しを三年先送りしました。「都市再生機構」が今回、発表した「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」は、その“地ならし”を図るものともいえます。
なぜなら、スリム化し現在の累積赤字を減らすメドを表明することにより、スムーズに民営化に移行できるからです。
日本共産党が再三にわたって指摘してきたように再編方針は居住者との話し合いぬきで機構が一方的、強権的に決めたものです。冬柴国交相は、「居住の安定に配慮」と国会で答弁していますが、このような一方的な発表はそのことが「絵に描いたもち」にすぎないことを示しています。
この再編方針にもとづく住宅削減・売却の実施は、格差社会が進行し、貧困が拡大するなか、公共住宅政策のいっそうの充実を求めている願いに真っ向から反するものです。UR住宅居住者をはじめとする「削減・売却、民営化反対」の声はいっそう広がることは間違いありません。(日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)