2007年12月27日(木)「しんぶん赤旗」

先住民族が「独立宣言」

条約でも保障、交渉よびかけ

米中北部


 【ワシントン=山崎伸治】米中北部に住むアメリカ先住民族のラコタ族が米国からの独立を宣言しました。代表が十七日、ワシントンの国務省に「独立宣言」を提出。承認を求める書簡をボリビア、ベネズエラ、チリ、南アフリカ共和国などの各政府に送りました。背景には、先住民族の貧困と米国政府の対応への不満があります。

 独立運動をすすめているのは「ラコタ・フリーダム(自由)」というグループ。先住民族の権利保障を訴えてきた活動家らが加わっています。

 ラコタ族は人口約七万人で、その大半がネブラスカ、ノースダコタ、サウスダコタ、モンタナの各州にある「特別保留地」に居住しています。

 「特別保留地」はもともと、欧州からの入植者が先住民族の生活を保護するために設けたもので、米国からの独立は条約でも保障されていました。ラコタ族は一八五一年と一八六八年に米政府と条約を結んでいます。

 ところが実際にはそれが守られず、事実上先住民族を押し込める場所となっています。核実験場や廃棄物処理場などが置かれるなど、劣悪な生活環境となっているところが多いといわれます。

 「独立宣言」は「ラコタは百五十五年間、米国が先の条約の条項を守ることを待ってきた」が、「条約違反が継続した結果、われわれは物理的、精神的、文化的な消滅にひんしている」と強調。条約法に関するウィーン条約などの国際法に基づいて米国との条約の廃棄を表明し、国境や領土などについて米政府に交渉を呼びかけています。

 「ラコタ・フリーダム」のウェブサイトはラコタ族の現状を告発。「男性の平均寿命は四十四歳」「乳児死亡率は全米平均の三倍以上」「三分の一の家に上下水道がなく、40%に電気がない」「97%が貧困世帯」「保留地内の失業率は85%以上」といった統計をあげ、独立を宣言した背景に、一向に改善しない劣悪な生活環境があることを強調しています。


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