2007年12月21日(金)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎訴訟
国が一律救済拒否
原告 「命の線引き」許されぬ
和解協議打ち切り
薬害C型肝炎訴訟の和解協議で二十日、国は「命の線引き」に固執し、原告の求める被害者全員の一律救済を拒否する和解案を示しました。同訴訟の原告団はこれを受け入れないことを表明しました。同日午前、原告団・弁護団は厚生労働省で記者会見し、和解協議打ち切りを表明し、「私たち薬害被害者は線引きされ、切り捨てられました。しかし、今後とも線引きのない全員一律救済を貫いていく」(薬害肝炎全国原告団・山口美智子代表)と怒りと決意をのべました。
同日、原告側に先立って舛添要一厚労相が同省で記者会見し、国の和解「修正」案を説明。厚労相は、「薬害発生への反省」は口にしつつ、被害者救済を狭く限定した大阪高裁の和解骨子案を踏まえ「骨子案と矛盾する内容での和解はできない」とのべました。「活動支援金」と称するお金を三十億円としたことを繰り返し、「事実上の全員救済」と強調しました。
これにたいし、原告側は「国に、すべての被害者の責任を認めてという意味をこめて全員一律救済をといってきた。金額をいくら積んでも(被害者救済の)『線引き』を譲らない限り受け入れられない」(大阪訴訟原告団の桑田智子代表)と国の和解「修正」案を拒否しました。
原告側は二十一日にも、大阪高裁に国の和解「修正」案を拒否する考えを伝えます。
薬害肝炎訴訟 二〇〇二年十月に、東京地裁に十三人、大阪地裁に三人の被害者が国と製薬企業に損害賠償を求めて提訴。その後全国の被害者が、仙台、名古屋、福岡の各地裁に裁判を起こしました。訴訟の目的は、(1)危険と知りつつ血液製剤を承認・販売した国と製薬企業の責任を明らかにし、謝罪を得ること(2)被害の回復(3)真相究明(4)ウイルス性肝炎にたいする恒久対策を実現すること―です。
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