2007年12月15日(土)「しんぶん赤旗」

主張

国会会期再延長

民意より米の圧力優先なのか


 自民党と公明党の与党は十四日、十五日まで延長されていた臨時国会の会期を、来年一月十五日までさらに一カ月間延長することを、日本共産党など野党の反対を押し切り決定しました。インド洋でアメリカなどの軍艦への海上自衛隊の給油活動を再開する、テロ対策特別措置法案(新テロ法案)をなにがなんでも成立させるためです。

 会期の再延長により、規定では、新テロ法案はたとえ参院で採決されなくても、参院に送付されてから六十日を超す一月十二日以降は否決されたものとみなされ、衆院で三分の二以上の賛成で再議決されれば成立する仕掛けになります。

“数の横暴”そのもの

 当初今国会は、十一月十日までが会期でした。新テロ法案が大幅に会期が延長されても成立していないのは、自衛隊の給油活動を再開しアメリカの「報復戦争」を支援する政府の説明が成り立たず、国民が反対し続けているためです。一度ばかりか二度までも会期を大幅に延長し、異常きわまる越年国会を押し付けたうえ、参院の意思を無視して衆院の数の力で成立させようというのは、会期制の原則も二院制の原則も踏みにじる“数の横暴”そのものです。

 国民の多くが、給油活動の再開も、与党による数の横暴も望んでいないことは、最近の世論調査の結果でも明らかです。NHKの世論調査では新テロ法案について、「今の国会にこだわらず」が50%を占めます。新テロ法案が参院で否決された場合の衆院での再議決は「どちらかといえば適切でない」「適切でない」があわせて47%です。JNNの世論調査でも、自衛隊の補給活動を「再開する必要がない」は50%で「再開すべき」の42%を上回りました。

 国民世論の多数が給油再開を支持しないのは、給油がアメリカの「報復戦争」を支援するだけでテロ対策にならないのではないかとか、日本の給油がアフガニスタンなどでの罪もない市民の殺りくに使われているのではないかという、当然過ぎる疑問に政府が答えられないからです。日本の給油がアメリカのイラク攻撃に転用されたのではないかとの重大な疑惑にも政府は答えていません。

 とりわけ、アメリカがアフガニスタンでの「報復戦争」を始めてから六年以上たつのに、テロはなくなるどころか世界中に拡散しており、アフガニスタンでも状況を悪化させているという現実が、政府の説明の説得力を欠くことになっています。いまや「報復戦争」ではテロはなくせないというのが世界の常識であり、やみくもに給油を再開し、アメリカを支援するというだけでは国民を納得させることはできません。

 福田政権が国民の合意がなくても新テロ法案を成立させようと無理を重ねるのは、先月中旬の訪米でアメリカのブッシュ政権に約束した、給油再開の公約を果たすためです。福田首相は訪米で「ハラを固めた」と説明する政府高官の証言もあります(「日経」七日付)。それこそ国民の意思よりアメリカのご機嫌を取り結ぶことを優先する卑屈な態度です。

廃案に向け世論高めて

 もともと、軍事利権の解明を抜きに、自衛隊の給油再開を強行する資格など、政府にはありません。新テロ法案は廃案にし、「報復戦争」の支援はやめアフガニスタンの事態の平和解決にこそ貢献すべきです。

 政治の方向を最終的に決定するのは主権者・国民の意思です。再議決の強行を許さないため、国民の反対の声を広げることが急がれます。


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