2007年12月14日(金)「しんぶん赤旗」
東京・荒川の認証保育所
施設長に無資格者
都の改善指導、全容が判明
営利企業が経営する東京都認証保育所「じゃんぐる保育園」(荒川区、定員三十人)に対し、都が改善指導を行っていた二十一項目におよぶ指摘の全容が、日本共産党都議団が入手した資料で十三日までにわかりました。
党都議団が職員の架空申請をするなどの不正疑惑を明らかにした同園に対して、都は八月と十月に立ち入り調査を実施、十二月六日に改善指導を行いました。
今回明らかになった内容は、保育の質そのものを問うものが多数というひどい実態です。
「資格を有していない者が施設長である」「実施要綱に基づく職員を確保していない」「保育従事者の質の向上に努めていない」「構造設備その他にやや危険な個所がある」―。都の指導は、職員が適正に配置されていない状況や、建物設備の管理、運営方針などにおよびます。しかし、職員の架空申請による補助金の不正受給などの疑惑には言及がありません。
同園を経営する株式会社日本保育支援協会の三谷忠士代表は十二月三日付で、保護者に「お詫(わ)び」文書を配布し、施設長の不在などの疑惑に対し弁明しています。
この「お詫び」の中でも虚偽が判明。施設長の実名をあげて長期間欠勤状態だと説明していますが、この人は、都が施設長として受理していない人でした。
同園に三歳の子どもを預けている母親(33)=荒川区=は「お詫びの文書をもらったが、解決策もわからず何を言いたいんだろう、と思いました。ほかに預ける施設がないから利用しているのです。園はいま、どんな状況にあるのか保護者に説明してほしいし、都もしっかり実態をみて指導してもらいたい」と話しています。
営利優先では保育の質落ちる
この問題を都議会代表質問でとりあげた曽根はじめ都議の話 認証保育所制度は、石原慎太郎知事が福祉施策の目玉として導入し、営利企業の参入をすすめるものです。じゃんぐる保育園の例は、営利を優先するために保育の質が落ちることになるという典型です。じゃんぐる保育園にとどまらず、都が営利企業による認証保育所を指導したケースを見ると、そのほとんどが保育の質にかかわる指摘です。保育の質を最優先に確保するためにも、保育を営利企業にゆだねる流れを変えなければなりません。