2007年12月14日(金)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

水増し請求問題 井上議員の追及

癒着の毒 防衛省全体に


 水増し請求で「取引停止」処分を受けていた軍需企業が防衛省(庁)から受注していた―十三日の参院外交防衛委員会で、日本共産党の井上哲士議員は政府をただし、癒着の構造を明らかにしました。


 防衛省疑惑をめぐって、軍需商社「山田洋行」による水増し請求が次々と発覚していますが、問題は同社だけにとどまりません。

 井上氏は一九九〇年以降に発覚した防衛調達をめぐる国内メーカーからの水増し請求による過払い総額が、現在金額が判明している十六社分で約千百四十四億円にのぼることを示しました。(表)

表

 井上 これだけ巨額の税金が食い物にされながら、刑事告発は一度もなされていない。では、行政処分としての取引停止は当然行っていると思うがどうか。

 石破防衛相 いたしている。

 井上 ところが、二〇〇〇年以降で調べると、水増し請求で取引停止になっている期間中に、すべての(該当)企業が受注をし、合わせると百六十一件七十四億円を超える。

 例えば、日本無線は停止期間の〇四年十二月から〇六年三月の間に九十三件の取引を行い、金額は約五十二億円にものぼります。

 「これでどうして取引停止といえるのか」と迫る井上氏に、石破氏は取引停止の効果がないことを認め、ほかに装備品の購入先がないかなど真にやむをえない事情があるかどうか「さらなる精査は必要だ」と答えざるをえませんでした。

 井上 総理、こういう実態は国民に理解されるとお考えか。

 福田首相 これはね、私も理解できませんよ。国民のみなさんが理解できるはずないと思いますね。

 井上氏は人ごとのようにいう福田首相を厳しく批判。さらに、水増し請求が発覚した企業に防衛省OBが天下っている実態を指摘しました。

 「水増し請求をしても刑事告発はない。取引停止といっても実際は行われている。天下りもしている」と井上氏。水増し請求が発覚した企業に対して旧防衛庁の調達実施本部幹部が返還額を不正に減額し、見返りに天下り先ポストを確保したのが九八年の調本背任事件だったと述べました。

 この調本事件で当時の額賀福志郎長官が辞任しました。その後、政府は調本を解体し、守屋武昌防衛事務次官のもとでいまの装備本部をつくりました。さらに、防衛施設庁の官製談合事件が起きると今度は同庁を解体。装備施設本部に組みこんで事務次官のもとにおくことになりました。

 井上氏はこの経過全体を通じて「結局、癒着の『毒』が防衛省全体に回ってしまったというのがいまの姿だ」と指摘。「組織改革といって、組織いじりをしたけれど癒着構造は拡大した。ここに徹底的なメスを入れるべきだ」と強調しました。



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