2007年12月11日(火)「しんぶん赤旗」

南米銀行憲章に調印

国際金融機関から自立へ 7カ国


 【メキシコ市=松島良尚】アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで九日、南米七カ国が域内の金融面での独立性を高めるために設立する南米銀行の憲章調印式が行われました。アルゼンチン、エクアドル、パラグアイ、ブラジル、ボリビア、ベネズエラの各首脳とウルグアイの特使が出席しました。

 南米銀行設立はベネズエラのチャベス大統領が提唱。構造調整政策を融資条件とする国際通貨基金(IMF)などに代わって、域内諸国が協力して資金を融通し、各国の自主的な経済発展に役立てようという狙いです。これにアルゼンチンのキルチネル大統領が賛同し、具体化が進みました。

 ロイター通信によれば、憲章はその目的について「南米銀行を構成する南米諸国連合加盟国の経済、社会発展への融資」「地域統合の強化、構成国間の非対称性の縮小と投資の公平な配分」としています。

 各首脳は新銀行の意義について、「南米の金融的自立を強化する重要な一歩だ」(ブラジル)、「国際金融機関に縛られていた金融的従属性からの南米の解放に役立つ」(エクアドル)、「南米の独立のたたかいの続きだ」(ベネズエラ)などと強調しました。

 南米銀行には各国が分担して計七十億ドルを出資し、その比率などを六十日以内に決定します。ベネズエラの首都カラカスに本部、ブエノスアイレスとボリビアの政府所在地ラパスに副本部を置く予定です。


解説

南米統合へ重要な一歩

 南米銀行の発足は、南米諸国がIMFなど国際金融機関や多国籍企業の支配から抜け出し、南米統合を進めるうえで重要な一歩となります。

 ワシントンにあるシンクタンク、西半球問題評議会(COHA)は、南米諸国が完全に自主的な金融機関を持つのは「史上初めて」と強調。同銀行は南米統合と域内協力をさらに前進させる可能性を持つと指摘しました。

 報道によると、南米銀行の大きな特徴は一国一票制です。加盟国の出資額に応じて票数が決まるIMFと異なる点です。ベネズエラのカベサス財務相は、「われわれのための銀行、われわれによって導かれる銀行だ」と述べて、各国の平等、銀行の透明性と民主性を強調しました。

 調印式では、ブラジルのルラ大統領が、銀行発足は南米統合の「決定的一歩」と述べるなど、各国大統領が南米統合への期待を語りました。エクアドルのコレア大統領は、南米共通通貨の実現を提案しました。(島田峰隆)


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