2007年12月9日(日)「しんぶん赤旗」
伊で「大連立」協議か
最大与党と右派最大野党 政策ほとんど同じ
共産主義再建党 “民意に背く”
イタリアの最大与党である民主党が、野党右派連合の最大政党「フォルツァ・イタリア」との協議に踏み出しました。民主党の行為は昨年四月の総選挙で連立与党・中道左派連合を勝利に導いた「共同選挙綱領」に反する―。与党の一角を占める共産主義再建党は、こう批判し、政権離脱もちらつかせています。(島田峰隆)
「状況は変わってしまった。(総選挙前の)右派政権に劇的に代わる新しい改革の政府はできなかった。民主党と連立するのか、政権内に残り続けるべきかどうか―すべてを考え直すべき時だ」
右派対抗勢力の結集掲げたのに
共産主義再建党の前書記長で下院議長を務めるベルティノッティ氏は四日、メディアに対しこう語りました。
民主党は十月末に、プローディ政権内の最大政党だった左翼民主(党)と中道政党「マルゲリータ」が合併して誕生。同党は、右派に対抗する勢力の結集を一番の目標に掲げました。
ところが、民主党のベルトローニ党首は、十一月末に突然、「フォルツァ・イタリア」のベルルスコーニ前首相との党首会談を実施。今後一年内に、二大政党制の定着を目的に選挙制度や機構を「改革」することで合意しました。
誕生したばかりの民主党が、最大の敵であるはずの右派政党と足並みをそろえたことは、世間を驚かせました。コリエーレ・デラ・セラ紙は両党首ががっちり握手する写真を付けて、「氷は解けた」と報じました。
しかし、これは、民主党の政策に照らせば当然の帰結ともいえます。
民主党は、党の最大の目的は「効果的な二大政党づくり」だと主張。「マニフェスト」では、「市場における競争」を重視し、「米国とのかけがえのない同盟」の実現を掲げており、政策面で右派勢力とほとんど違いはみられません。
政府政策批判のデモ・スト続発
民主党の政策は、不安定雇用労働者の保護や社会福祉の強化、軍事費の削減などを掲げた「共同選挙綱領」からは明らかに後退しています。この間、政府の政策を批判する大規模なストやデモが相次いでいる背景にも、民主党結成によるプローディ政権の政策的後退を指摘することができます。
共産主義再建党は、同党が連立政権から離脱すると右派政権の再来を許すとして、政権にとどまる方針を採ってきました。しかし、ジョルダーノ書記長は最近、「プローディ政権の検証を行う」と繰り返し述べるなど批判を強めています。