2007年12月8日(土)「しんぶん赤旗」

主張

「太平洋戦争」66周年

事実を直視し向き合ってこそ


 戦前の日本が、当時「満州」と呼ばれた中国東北部や中国全土での侵略戦争につづいて、アメリカやイギリスなどを相手にした「太平洋戦争」を開始した一九四一年十二月八日から、六十六周年を迎えました。ことしは日中全面戦争のきっかけになった一九三七年七月の盧溝橋事件から七十周年にあたり、十二月十三日は日本軍が当時の中国の首都・南京を攻撃し、多くの軍人や民間人を殺りくした「南京大虐殺」からも七十周年を迎えます。

異常な逆流の一掃を

 一九三一年から始まった「満州事変」と、それに続く日中全面戦争、さらには「太平洋戦争」まで、十五年にわたった日本の侵略戦争によって、日本が侵略したアジア・太平洋の国ぐにでは二千万人の犠牲者をふくむ多大な損害をもたらし、日本国民の犠牲者は三百十万人以上にのぼりました。

 日本は戦後、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(日本国憲法前文)ことを誓って再出発しました。ところが歴代自民党政府は十五年戦争が侵略戦争であったという歴然とした事実さえ認めず、二十一世紀になってもなお世界から戦争の責任を問われ続けています。侵略戦争と植民地支配への反省をつらぬくことは、日本が世界で役割を果たしていくために、ますます重要になっています。

 そのためにはまず、事実を直視し、正面から向き合うことです。侵略戦争を正当化する靖国神社への参拝に固執した小泉純一郎元首相は、中国や韓国と首脳会談が持てないほど外交で行き詰まり、日本軍「慰安婦」(戦時性奴隷)問題で日本軍の強制性を否定した安倍晋三前首相は、アジアだけでなくアメリカなど欧米諸国からもきびしい批判を浴びました。安倍政権の崩壊は、侵略戦争の正当化を押し付けてきた「靖国」派にとって大打撃です。

 福田康夫首相は、靖国神社への参拝は否定しています。しかし、日本軍「慰安婦」問題や、沖縄戦での「集団自決」(強制集団死)から軍の強制を削除させた教科書検定など、安倍政権時代の「負の遺産」は残り、「靖国」派の巻き返しの動きも軽視できません。歴史をゆがめる異常な逆流を日本の政治から一掃していく課題は、ひきつづき重要な仕事です。

 日本軍「慰安婦」問題では、アメリカやオランダに続いて、カナダの下院でも最近、日本政府に真摯(しんし)な謝罪を求める決議が全会一致で可決されました。日本政府は、日本軍の強制と関与を認めた一九九三年の「河野洋平官房長官談話」を厳格に引き継ぎ、その立場で元「慰安婦」の方への謝罪と名誉回復の措置を講じるべきです。

 沖縄戦の教科書検定では、「集団自決」の記述から軍の強制を削除させた検定意見に何の根拠もなかったことがいよいよ明瞭(めいりょう)になっています。沖縄では、十一万人を超す県民が参加して復帰後最大規模の集会が開かれ、検定意見の撤回を求めました。誤った検定意見を撤回させ、記述を元に戻させることが不可欠です。

過去に目閉ざすものは

 「過去に眼を閉ざすものは、未来に対してもやはり盲目になる」―ワイツゼッカー・ドイツ連邦大統領の、侵略戦争を反省した、あまりに有名な言葉です(一九八五年の演説)。事実に向き合わないで、歴史を生かすことはできません。

 日本共産党は侵略戦争に命がけで反対したただ一つの党として、一切の歴史の逆流を許さず、平和を実現するため、力をつくす決意です。


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