2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」
イラン核開発
「03年秋以来、中止」
米情報機関 ブッシュ政権と異なる分析
大統領補佐官 外交的解決に「期待」
【ワシントン=山崎伸治】米政府は三日、イランの核開発に関する米情報十六機関の見解をまとめた「国家情報評価」(NIE)報告の非機密部分を公表しました。そのなかで同国は二〇〇三年秋以来、核兵器開発を中止していると指摘。断固として核兵器開発を決意しているとした〇五年五月の報告を修正する分析を示しました。
報告は「国際的な監視と圧力」がイラン政府の決断を導いたと指摘。ホワイトハウスのハドリー国家安全保障担当大統領補佐官は声明で、「イランが核兵器を保有する危険は引き続き非常に深刻な問題だ」と指摘。報告については「この問題が外交的に、武力行使なしに解決できるという期待に根拠を与えている」と強調しました。
報告はイランが秘密工場を使って兵器用の高濃縮ウランを生産していたと指摘。「こうした活動は、おそらく二〇〇三年秋の計画中止にともなって中断し、少なくとも〇七年半ばまで再開していない」と分析しています。
「現在核兵器を開発するつもりかどうかは分からない」との見方を示すとともに、核兵器の製造を決断すれば、それを可能とする「科学的、技術的、工業的能力」はあると評価。しかし「兵器用の高濃縮ウランを十分に生産できるようになるのは二〇一〇年から一五年の間」と推測するなど、核兵器の保有にはまだ時間がかかるとの見通しを示しました。
ブッシュ政権はこの間もイランが核兵器開発を行っていると批判を強めていましたが、今回の報告はそれとは異なる分析を示しています。
国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長も、イランについて「具体的な核兵器開発計画が進行中であるという、いかなる情報も私は持っていない」(十月二十八日、米CNNテレビとのインタビュー)と述べていただけに、今後のブッシュ政権の対応が注視されます。