2007年12月2日(日)「しんぶん赤旗」
現場規制の危険指摘
学習指導要領改定シンポ
民研
民主教育研究所(民研)は一日、東京都内で、現在文部科学省が進めている学習指導要領の改定についての緊急シンポジウムを開きました。研究者、教師ら約八十人が参加しました。
和光大学の梅原利夫教授は、中央教育審議会の教育課程部会が指導要領改定の方針として出した「審議のまとめ」について、「改悪された教育基本法のもとでの初めての改定で、これまでとは質的に重大な変化がある」として報告しました。
「まとめ」が学習内容の「習得」と「活用」「探究」を分離していることを批判し、基礎・基本を習得するなかで活用や探究が行われてこそ、基礎知識が応用可能な広がりを持つとのべました。
また、文科省が定める重点指導事項例が教科書検定と学力テストの基準になり現場が強く規制され、教師がその「結果責任」を問われる危険性を指摘。道徳で「規範意識」が強調され、点検項目を示して「規範」でしばり特定の道徳観を押しつけようとする方向が出ているとのべました。
元小学校教師の小佐野正樹さんは、子どもが自分の意見を書いたり討論しながら進める理科の授業実践を紹介。「審議のまとめ」について「『活用力』を強調し知識を否定しようという流れだ」と指摘。本当の「活用力」を育てるためには「本質的な内容をしぼり込んで、適用範囲の広い自然科学の概念・法則を、子どもたちが集団のなかで獲得することが必要」と語りました。
「科学的『読み』の授業研究会」の小林義明さんは、全国学力テストの出題を分析した結果として、「『審議のまとめ』は『思考力、判断力、表現力をはぐくみ』と強調しているが、それは限定され、条件付きのものであり、自主的、批判的なものの見方を排除している」と述べました。
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