2007年11月29日(木)「しんぶん赤旗」
全国町村会
地方交付税は命綱
深刻な財源不足訴え
全国町村会(会長・山本文男福岡県添田町長)は二十八日、都内で全国町村長大会を開き、町村長など約千五百人が参加しました。
国の「三位一体改革」で地方交付税が五兆円超も削減され、町村は深刻な財政危機に直面しています。大会は「地方交付税の財源保障・調整機能を堅持し、その総額を復元せよ」のスローガンを掲げ、山本会長はあいさつで「地方交付税は命綱。増額は絶対に不可欠だ」と強調しました。
来賓あいさつで福田康夫首相は「格差という問題が存在している。農村漁村はとくに厳しい」などと指摘し、「財源確保のため地方とともに国も努力していく」と述べました。日本共産党の山下芳生参院議員が参加し、紹介されました。
首長ら政府に怒る
合併したが裏切られた
小児科常勤1人だけ
二十八日の全国町村長大会では「初の試み」として、首長による意見発表が行われました。
「十九科三百二十床を擁する一市三町の病院組合では医師不足が深刻だ。産婦人科は常勤がおらず、週三回の外来診療のみ。小児科は常勤が一人で頑張っている。国は不採算部門への財政支援に特段の配慮をしてほしい」(静岡県富士川町長)
「『合併後十年間は旧町村分の交付税を保障する』という言葉を信じ、生き残りをかけて合併したが裏切られた。必死に行革に努めてきたが、がまんも限界だ。江戸時代に『生かさず殺さず』と言われてじわりじわりと年貢を取り立てられた農民のようだ」(広島県安芸太田町長)
怒りを込めたこれらの発言に会場の町村長から大きな拍手が起こり、共感の声が飛びました。
国が号令をかけた「平成の大合併」で、二千五百十三あった町村は千十八に減りました。しかし、それは地方の活性化にはつながっていないというのが町村長たちの思いです。採決した決議は、「構造改革」路線が地域間格差をひろげたとも指摘しています。
厳しい現状を切々と語り、国に注文を突きつける首長たち。しかし、これらの発言の前に福田首相は退席していました。「直接聞いてほしかった」との声も、参加者から上がっていました。(坂井希)