2007年11月28日(水)「しんぶん赤旗」

75歳以上医療

保険料報道 なぜ違う

厚労省調査は減額措置加味


 来年四月に実施予定の七十五歳以上を対象にした後期高齢者医療制度で、都道府県の広域連合ごとの具体的な保険料が決まりつつあります。「しんぶん赤旗」は二十六日付で、「一人当たり平均保険料」を報道しました。一方、「朝日」と「日経」も二十七日付で「一人当たり平均保険料」を、「厚生労働省調査」として報じました。ところが、「赤旗」より保険料額が低いため、「どちらの数字が本当か」という質問が編集局に寄せられています。

 保険料に違いがある理由は、同じ「一人当たり平均保険料」でも、「赤旗」と「厚労省調査」では、違う中身を指しているからです。

 「赤旗」は、各都道府県が、医療費と七十五歳以上の被保険者数をもとに算出した保険料額を、「一人当たり平均保険料」として報じました。これは、各都道府県の発表などにもとづいています。「厚労省調査」の数字は、各都道府県が「軽減賦課後の一人当たり保険料」として発表しているものです。

 後期高齢者医療制度では、いままで保険料を払ってこなかった被扶養者からも保険料を徴収します。このため「二年間の措置」として保険料を半額にすることにしています。また、低所得の人には、収入に応じて、「二割」「五割」「七割」の減額措置があります。これらを加味したのが「厚労省調査」の数字です。

 これまで厚労省は、減額措置などを加えない「平均保険料」として「年間七万四千四百円」と発表しています。これと比較するには、減額措置などを含まない「平均保険料」を基準にするのが妥当といえます。

 なお、「厚労省調査」として、「単身者の平均的な年金収入は二百一万円」という基準で、二百一万円の年金収入の保険料額の各都道府県比較も報じられました。いままで厚労省は「単身者の平均的な年金収入は二百八万円」としてきました。ほとんどの都道府県も「二百八万円」で計算しています。「赤旗」二十六日付もこれにもとづいて報道しました。

 「二百一万円」という基準にすれば、保険料減額措置にかかるため、保険料は低くなります。制度実施を目前にして、新たな「平均的な年金収入」基準を持ち出す手法には、疑問を持たざるをえません。(宮沢 毅)

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