2007年11月27日(火)「しんぶん赤旗」

英国国教会

米覇権主義を批判

大主教が軍撤退求める


 【ロンドン=岡崎衆史】英国国教会のウィリアムズ・カンタベリー大主教は、英国のイスラム教徒向け雑誌『エメル』十二月号のインタビューで、米国の覇権主義を批判し、「対テロ」の名の下での戦争をやめて軍を撤退させるよう求めました。


イスラム教徒向け英誌インタビュー

 ウィリアムズ大主教は、「唯一の世界的な覇権国」である米国が「影響力と支配を増大しようとしているが、うまくいっていない」と述べ、米国の覇権主義を「世界最悪だ」と指摘しました。

 同大主教は、米国のイラク戦略とインドを支配した英国の帝国主義政策を「同列の覇権主義」と説明。米国の戦略については、「短期の集中的暴力によって敵をけ散らし、後は誰かが元に戻す」という前提に立っているとし、その無謀ぶりを指摘しました。

 9・11米同時テロ後、米国が道徳的な権威を失ったかとの問いには「そうだ」と述べ、イラク戦争、アフガニスタン戦争をはじめとするブッシュ米政権の「対テロ戦争」が米国の道徳的権威の失墜に終わったとの考えを示しました。

 同大主教は、米国がこうした状況から回復するためとして、(1)対テロ戦争で被害を受けた地域への援助(2)同地域での経済的搾取の防止(3)軍の撤退―を呼びかけました。

 一方、ウィリアムズ大主教は英国のイラク戦争参戦について、“何かをしなければならない。そうすれば安心する”という考えに参戦支持者が突き動かされたとし、「非常に危険なことだ」と述べました。


 カンタベリー大主教 英国国教会の宗教上の最高位であるとともに、世界百六十カ国以上の八千万人を超える全聖公会(英国教会派)信者を結束させる象徴的存在。十年に一回、ロンドンのランベス宮殿で開かれる全聖公会の主教会議の議長を務めます。



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