2007年11月27日(火)「しんぶん赤旗」
参院本会議決算報告受けて
山下議員の質問(要旨)
日本共産党の山下芳生議員が、二十六日の参院本会議で、二〇〇六年度決算報告を受けて福田康夫首相におこなった質問(要旨)は次の通りです。
この決算は、貧困と格差が広がるなか、弱い立場の人々をさらに容赦なく切り捨てる小泉「構造改革」の総仕上げともいうべきものでした。国民がどれほど苦汁を味わってきたか。私は六年間、人々の声をじかに聞き、ひとつひとつ胸に刻んできました。
「わずかな年金で、おかずのないご飯を何回も食べています」。年配の女性がうつむいたまま話してくれました。こういう方の住民税まで三倍、四倍に引き上げたことに怒りを覚えます。
昨年末、滋賀県で、四十三歳の父親と障害をもつ二人の娘さんが無理心中する事件がありました。新聞には「障害者自立支援法による負担が重くのしかかった」とありました。娘の養護学校の体育祭に手作りのお弁当を持っていく優しいお父さんだったといいます。
先の参議院選挙で与党が大敗した根底には、こうした政治の冷たさ、負担の重さにあえぐ、無数の“民の怒り”があることを肝に銘じるべきではありませんか。
まず高齢者医療についてです。政府は来年四月から、七十五歳以上の人を「後期高齢者医療制度」という新たな制度に移し、年金から高い保険料を天引きしようとしています。ヨーロッパ諸国など「国民皆保険制度」をもつ国のなかで、年齢で被保険者を切り離し、保険料や医療の内容に格差をつけている国などどこにもありません。
自民・公明が合意した負担増の「一部凍結」では解決になりません。総選挙が終われば負担増という姑息(こそく)なやり方でなく、実施そのものを中止すべきではありませんか。
与党は、参院選後、障害者自立支援法の抜本的見直しを検討するといいましたが、具体的な進展はありません。部分的な手直しですませるのでなく、「応益負担」の撤回という、障害者と家族の根本要求に正面から応えるべきではありませんか。
深刻な医師不足のもと、全国各地で産科、小児科など診療科の廃止や公立病院の縮小が広がっています。世界第二の経済大国で、安心して赤ちゃんを産むことすらできない、命の重さに地域格差がある、こんなことは絶対にあってはならないことです。
医師数抑制の閣議決定を撤回し、医師の抜本増員に転換することこそ政治の責任ではありませんか。
国民生活と社会保障の充実をはかるためには財源が必要です。日本共産党は、大企業・大資産家に対する行き過ぎた減税を是正し、巨額の軍事費にメスを入れることによってまかなうべきだと考えます。
総理は、志位委員長との党首会談で、政府税制調査会が、社会保障の財源として消費税率の引き上げを「選択肢のひとつ」としていることについて、「同じ考えだ。そうせざるを得ない」と言い切りました。
消費税は、所得の低い人ほど負担が重くなるという「逆進性」をもった「弱いものいじめ」の税金です。社会保障の財源に「弱いものいじめ」の消費税をあてるほど本末転倒はありません。
消費税率の引き上げが必要だと考えるのなら、次の総選挙できちんと国民の判断を仰ぐべきではありませんか。
軍事利権疑惑について聞きます。国民には負担増を押し付けながら、軍事費に年間五兆円もの税金をつぎ込む。しかもそれが、「水増し」「口利き」「天下り」などで、日米の軍需企業、政治家、官僚の食い物にされているのではないか。国民はそこに憤慨しています。
わが党は、関係者の証人喚問で真相を徹底解明することを強く求めます。総理こそ、予算編成の責任者であり、自衛隊の最高指揮官、そして自ら任命した大臣が疑惑の渦中にある問題なのです。人まかせにせず、自ら真相解明の先頭に立ち、国民への説明責任を果たすのが当然ではありませんか。