2007年11月26日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPress
就活シーズン到来
会社選びのコツは―
意外と多いミスマッチ
いよいよ就職活動シーズンも本番。就職戦線を乗り越えて、期待に胸ふくらませて入社したら、長時間労働やノルマの連続…。入社前のイメージと違って結局退社、ということにならないための、会社選びのコツを探ります。塚越あゆみ
ますます広がる学生側の「売り手市場」。企業の情報はあふれ、氷河期だった3、4年前とは様変わりしています。しかし、こんな時ほどご用心。しっかり調べて会社を選んだつもりでも、入社前のイメージとの“ギャップ”から離職するケースは多いのです。
ストレス多く
2003年に就職して3年以内に離職した人は35・7%(大卒)。理由のトップが「ストレス」でした。「採用条件と職場の実態が違った」「経営者や経営理念に合わない」などの“ミスマッチ”が、共通する主な要因です。
就職情報サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長は、「仕事は自分の生活の大部分を占めるもの。無理せず働けるか、フィット感があるかを重視して」と助言します。
手段の一つが「ブログ」です。企業の人事担当者が、会社の日常をざっくばらんにつづっているもので、昨年ごろから参加企業が急増。主に就職サイトで閲覧でき、大手のサイトでは登録企業の半数以上がブログに参加。採用人数が少なく人材のミスマッチをなくしたい中小企業ほど、熱心に更新しているといいます。
会社説明会は、従来の「講演型」が減り、社長や現場の社員と直接話せるなど工夫を凝らした「参加型」が増えているのが最近の特徴です。思い通りの質問ができなかった時は、メールで再度質問し、疑問を解消しておくことが大事です。
数字には注意
実際に会社で働いている先輩に会社の様子などを聞ける「OB訪問」の良さは、深い話ができること。しかし、準備不足のまま訪問し、肝心なことを聞けずに帰ってきてしまうケースも。事前に質問を準備することはもちろん、「突っ込んで聞く」ための「想定問答」を考えておくと失敗が防げます。
休日出勤があるか心配な場合、「ある」と言われても、もうひと掘りしてみる。もし「休日出勤もたまにはこんないいことがあるよ」と聞ければ思い込みの枠を取り払うきっかけにもなります。
合同セミナーは、希望していない会社に触れるいい機会。希望していなかった業界にも関心がわけば、内定の出そろう6月ころ「あの業界も見ておけばよかった」などの内定ブルーにはならないはず。
また、離職率や給料などのデータを見る際は、数字に惑わされないよう注意が必要です。
社風を探るのに意外なヒントが隠されているのが会社の「沿革」。歩んできた歴史を見れば、その会社の「人となり」が浮かび上がります。
「3年以内に3割辞める」割合は、1990年代後半以降ほぼ横ばい。いつの時代もどこかで生まれている「ギャップ」。防ぐためには、ネームバリューや印象の華やかさだけで決めず、自分に合った会社をしっかり見極めることが大切です。
■離職したワケ 先輩の声■
毎日残業、ノルマに追われ
元・大手旅行会社勤務、女性(26)
名の知れた会社で安心感があり、早く就活も終わらせたくて入社を決意。「お客さんを喜ばせることができて、自分も海外へ行ける」という説明会の言葉に期待したが、実際は毎日残業、残業代ナシ、ピーク時は終電で帰宅する日々…。毎月ノルマに追われ、達成できなければ怒られる。添乗員で海外へ行けるのは、ノルマを大幅に達成した優秀な人のみでした。
1年働き、転職して丸2年。労働条件も改善し、まともな時間に夕食を取り、自分の時間も持てるようになりました。
会社の都合が第一優先で
元・大手製薬会社勤務、女性(25)
大企業だからしっかりしてると思ったら、理念がなく体制もコロコロ変わり意外でした。外資だからか、会社の都合が第一優先、異動も多く社員は二の次。結婚後も続けるつもりでしたが、予想以上にハードだったので転職を決めました。
社員同士の競争うんざり
元・住宅メーカー勤務、男性(25)
福利厚生が保障されていて、一般の人ともかかわれると思い入社。知っている会社だし、OB訪問もしたので、過酷な労働条件は予想していませんでした。週休2日のはずが、実際は週1日。上司は「3カ月休んでいない」。業務は多岐にわたり、能力以上の仕事をさせられる。肝心の人間関係は、社員同士の競争やけなし合いにうんざり。今は、福祉職場を目指し、資格勉強中です。
人間関係悪く、行き場失う
元・出版社勤務、男性(26)
スポーツライターになりたくて、就職浪人までしてアルバイト先の出版社の正社員の座を射止めました。が、思ったよりも人間関係が良くない会社だと判明。人間関係の悪化で行き場を失い、一度別の業界で社会経験を積もうと転職しました。
ギャップ予防法
ブ ロ グ ▼日常の雰囲気を感じとろう
説 明 会 ▼疑問が残ればメールで聞いて
OB訪問 ▼質問の準備が命!
就職情報の見方
■沿 革
人に歴史あり、会社に歴史あり。社風を探る意外なヒントが。
何から始まった会社か。何を大事にしているか、片りんが見える。
■離職率
高い=キツい会社? 一概には言えません。
次の仕事のステップにするため入社する人が多い場合も。
■給 料
数字だけ見るのはNG。高給には理由あり。新人のころから責任が重いケースが多い。
低くても福利厚生が充実していることも。生活が心配なら、働いている人に聞いてみよう。
■採用実績校
自分の大学が少なくても、あまり考えすぎないで。働いたら関係ありません。
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お悩みHunter
友人が何度もメール傷つけずに断るには
Q 友人(男性)と好きな映画の話が弾み、メールアドレスを交換しました。初めは楽しかったのですが、毎日のように朝から晩まで何度もメールがくるので正直、困っています。相手はまじめないい人なので、傷つけたくないのですが、メールを減らしてもらいたいんです。(アルバイト女性、20歳、東京都)
無理のない距離感が大切
A 友人にとってあなたとのメールはとても楽しいのだと思います。それはあなたが誠実な対応をしているからでしょう。でもメールが多すぎて困るようでしたら問題ですね。
メールに限らずひと付き合いはどちらかが無理をしたらうまくいかなくなってしまいます。お互いにとって居心地のいいペースや距離感というのは大切です。たわいないメールでもお互いの距離感の違いで迷惑に思ってしまうこともあるかもしれません。
友人はあなたともっと仲良くなりたくて何度もメールを送っているのでしょう。でも、たとえメールが多くてもそれで距離が縮まるわけでもないし、少なくても距離があるわけではありません。相手のことを考えればこそ、そういうペースに落ち着くのですから。
まずはあなた自身がメールの返信を減らした方がいいかもしれません。時間があるときにまとめて返事を出すのです。
そしてやはり友人にはメールを減らすように言った方がいいと思います。「仕事中はメールが見られません」など理由を言って。できれば電話で直接話した方がいいですね。メールだと文字だけなのできつい感じになったり、誤解されたりするので。
好きな映画の話でもして、最後にちょっと伝えてみてはどうでしょうか。
第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん
東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。