2007年11月25日(日)「しんぶん赤旗」
イラク撤退「来年中」
新首相が施政方針演説
ポーランド
【ロンドン=岡崎衆史】ワルシャワからの報道によると、ポーランドのトゥスク首相は二十三日、下院で首相就任後初の施政方針演説を行い、イラク駐留同国軍を二〇〇八年内にすべて撤退させる方針を示しました。
イラク撤退は、十月の総選挙で現与党「市民プラットフォーム」(PO)が公約していたものです。POは、イラク駐留を絶対視する当時のカチンスキ首相率いる「法と正義」を抑えて第一党に躍進しました。
ポーランド軍は、二〇〇三年の米軍のイラク侵略直後、二千六百人を派遣し、現在九百人が駐留。イラク中南部の多国籍部隊約二千人を率いて、米国の忠実な同盟国としての役割を果たしてきました。
このポーランドの完全撤退表明は、ブッシュ政権の対イラク戦略での孤立をいっそう浮き彫りにしています。
トゥスク首相はまた、前政権が米国との間で進めてきたミサイル防衛基地をポーランド内に建設する計画について、北大西洋条約機構(NATO)や近隣諸国と相談した上で交渉を進めると述べ、慎重な姿勢を示しました。
他方で同首相は、NATOとの関係強化や、アフガニスタンに駐留する同国軍約千二百人の維持を約束しました。
同首相は、前政権下で外交関係をめぐり悪化した欧州連合(EU)との関係について、単一通貨ユーロの早期導入を目指すとするなど、関係強化への転換を表明しました。
内政問題では、減税、財政赤字削減、国営企業の民営化推進を打ち出しました。
トゥスク政権は、「市民プラットフォーム」と農民党による親EU、中道右派連立です。
■関連キーワード