2007年11月16日(金)「しんぶん赤旗」
いじめ 12万5000件
文科省06年度調査 定義広げ前年の6倍
文部科学省は十五日、二〇〇六年度の小中高校での「いじめ」の認知件数や暴力行為の発生件数を発表しました。いじめの件数は、定義が変更された結果、前年度の六倍の約十二万五千件に達しました。いじめが原因とみられる自殺者は六人でした。(14面に関連記事)
文科省は従来、いじめの定義を「自分より弱いものに対して一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え…」としていました。今回から「当該の児童生徒が…精神的な苦痛を感じているもの」としました。また、これまでの公立学校に加え、国立・私立も調査対象にしました。
具体的ないじめの内容は「冷やかしやからかい」が最も多く全体の66・3%、次いで「仲間はずれ、集団による無視」が25・4%でした。千人あたりのいじめ認知件数を都道府県別にみると熊本が最高で五十・三件、最低は鳥取の二・一件。
一方、暴力行為の発生件数は小中高合計で四万四千六百二十一件で、公立学校では17・4%増加しています。もっとも多いのは生徒間暴力でした。出席停止の措置は小学校で二件(前年度一件)、中学校で五十八件(同四十二件)でした。
いじめをめぐっては、文科省や教育委員会が「五年間で半減」「いじめゼロ」などの数値目標を示して達成を求め、それが要因になって「いじめ隠し」が起きていました。日本共産党の志位和夫委員長は昨年の国会で「いじめが多いか少ないかで学校と教員を評価するやり方が、実態を見えなくさせ、教師集団が協力して対処することを困難にしている」と追及。伊吹文明文科相(当時)が数値目標による「対策」に問題があったことを認めました。
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