2007年11月14日(水)「しんぶん赤旗」
日米財界人会議の共同声明
労働法制改悪 日本に迫る
日米財界人会議が発表した二〇〇七年の共同声明の全容が分かりました。
金銭さえ払えば解雇が自由にできる「金銭解決制度を導入」することを要求。長時間労働野放し・“残業代がゼロ”として国民的批判をあびた「労働時間規制の適用除外」の範囲の拡大を日本政府に迫っています。
この労働法制の改悪は、広範な反対運動によって実現を阻んでいます。声明は、「日本の政治情勢から、二〇〇七年におけるこうした労働法制改革に関するアクションは実現することがなかった」と悔しさをにじませました。その一方、「日本経済がよりグローバル化するにつれ、時代のニーズに合わない労働法制のままでは、日本企業の競争力を損なうだけでなく、グローバル企業の投資対象国としての日本の魅力にも影響を及ぼす」と指摘。労働法制を改悪し、労働者からいっそう搾り取ることが、日本の大企業のためだけでなく、日本に投資する米国の多国籍企業の利益になることを語っています。
日本の法人実効税率については、「国際的な水準まで低減されることを要望する」としています。消費税は、国際基準との「整合性を確保する」ことを求め、事実上の消費税増税提言となっています。また、来年度の税制「改正」の焦点になっている証券優遇税制については、減税措置が期限切れとなる二〇〇八年度以降についても継続するよう求めています。
多国籍企業の自由な活動を保障する日米間の経済連携協議については〇九年に交渉を開始できるよう、すぐに行動を起こすよう求めています。具体的な検討課題として、関税に加え、法規制、物流、認証、投資ルール、資本と為替市場、農業、ヒトの移動、知的財産権などを挙げています。とくに日本の農業問題について言及し、「構造改革を推進すること」を要請。大規模農家さえたちゆかなくなっている農業「改革」の推進を求めています。
医薬品の承認期間の短縮化や薬価制度「改革」なども求めています。
日米財界人会議 日米の経営首脳が経済問題について協議をおこない、主に日本政府に日米の大企業の要求実行を迫る会議です。一九六一年に発足しました。同会議は、日米持ち回りでおこなわれています。今年で四十四回目になります。日本側は日本経団連、日本商工会議所、経済同友会、関西経済連合会、日本貿易会など約九十の大企業・団体が参加。現在の日本側議長は氏家純一野村ホールディングス会長です。