2007年11月14日(水)「しんぶん赤旗」

新テロ特措法案

衆院本会議 赤嶺議員の反対討論(大要)


 日本共産党の赤嶺政賢議員が十三日、衆院本会議での新テロ特措法案採決に際しておこなった反対討論(大要)は以下の通りです。


戦争支援を継続

写真

(写真)反対討論にたつ赤嶺政賢議員=13日、衆院本会議

 第一に、本法案は、憲法違反の報復戦争支援をこれまで通り継続するものであり、断じて容認できません。

 政府は、補給対象を「テロ対策海上阻止活動」を行う艦船に限定すると言ってきました。しかし、審議の中で、「複数の任務につく米軍艦船への補給を除外しない」と答弁したのであります。要するに、限定などできないということです。

 もともと米軍は、インド洋・ペルシャ湾の海域で、海上阻止活動だけでなく、対アフガン、対イラク作戦を一体ですすめています。空母戦闘打撃群、強襲揚陸艦などを常時展開し、そのときどきの米軍の判断で必要とする作戦を遂行しているのです。まさに、米軍の運用次第で、空爆を含むあらゆる米軍活動を支援することになるのです。

 イラク作戦転用疑惑では、政府が根拠としてきた「二十万ガロン」という給油量も、「米側に確認した」という事実も、いずれも虚偽であったことが明らかになりました。「二重のウソ」にもとづいて、国会と国民に虚偽の説明をした責任は、きわめて重大です。

 七百九十四件の全件調査なるものも、米側に確認したのではなく、米軍艦船の海域から勝手に「推定した」にすぎません。しかも官房長官は、対アフガン任務を兼ねていれば、イラク戦争のような大規模な空爆を行う艦船であっても給油できると答弁したのです。政府がイラク作戦への転用を容認してきたことは明らかです。給油活動の再開など、もってのほかと言わなければなりません。

テロ根絶に逆行

 第二に、本法案が、テロ根絶に逆行するものだということです。

 この六年間、テロに戦争で対応してきたことが、新たな憎しみと暴力を生み、アフガン情勢の泥沼化をつくりだしてきました。報復戦争から和平への切りかえがいま、求められています。

 カルザイ大統領自身が、テロリストでないタリバンを含む反政府勢力との政治的対話の道を模索しています。アフガン国会も、軍事作戦の中止を決議しているのです。こうした和平の方向こそ、日本は支援すべきです。

 総理は「和平プロセスの推進は重要だ」と答弁しました。外務大臣は軍事作戦が自爆攻撃を急増させたのは「一面の真理だ」と認めました。ならば、本法案は撤回し、アメリカに軍事作戦の中止を求めるのが当然ではありませんか。

 民生支援と掃討作戦は「車の両輪」だなどと言って、報復戦争支援を継続するのはまったく矛盾しています。「殺しながら助ける」支援などあり得ないのです。

疑惑の究明こそ

 第三に、防衛省・自衛隊が、疑惑まみれだということです。

 守屋前防衛事務次官と軍需専門商社との癒着問題は、兵器調達にとどまらず、政治家、さらには米軍再編をめぐる利権疑惑にまで広がる様相をみせています。この疑惑の徹底究明こそ必要です。

 最後に、特別委員会での審議を中断し、福田総理が小沢・民主党代表と密室協議を行い、「自衛隊海外派兵恒久法」まで議論しながら、いまだにその真相を明らかにしていないことは重大です。恒久法と称して、アメリカの戦争を支援するため、いつでも海外出動できる体制をつくるなど、断じて容認できません。

 日本共産党は、本法案の廃案のため、全力をつくすことを表明して討論を終わります。


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