2007年11月13日(火)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎 九州訴訟
事実上の和解勧告
福岡高裁 全国で2例目
血液製剤のフィブリノゲンやクリスマシンを投与され、肝炎になった患者らが国と企業に謝罪や損害賠償を求めている薬害肝炎九州訴訟の控訴審口頭弁論が十二日、福岡高裁で開かれました。そのなかで丸山昌一裁判長は「当裁判所も薬害C型肝炎訴訟について早期に柔軟かつ妥当な和解による解決が望ましいと考える」と、事実上の和解勧告をしました。
薬害肝炎訴訟の和解勧告は大阪高裁に次いで全国で二例目。すでに国、企業、患者は和解協議に入っており、十二月七日までに大阪高裁が和解骨子案を示す予定です。
丸山裁判長は「大阪高裁の和解協議の進行を最大限の関心をもって注視していきたい」と言及。薬害肝炎訴訟弁護団によると、福岡高裁では、大阪高裁の骨子案をみた上で、当事者で今後の進行について話し合います。
大阪高裁に次いで和解勧告がされたことについて原告患者らは弁論後、記者会見で「うれしい」と率直に喜びを口にしました。一方で、これまでの厚生労働省や企業の対応への不信感から、「たたかいはこれから」と気を引き締め直す言葉も漏れました。
薬害肝炎訴訟全国原告団の山口美智子代表は「大変うれしく思います」と語りました。その後「投与の時期、製剤の種類を問わず一律に原告全員の救済を求めている。前提として法的責任を認め謝罪してもらう。最終の目標は、薬害の根絶です」と語気を強めました。
同九州訴訟原告の出田妙子さんは、今回の和解勧告が「大きな後押しをしてくれるのではないかと期待している」。同原告の福田衣里子さんは「まだ何も変わっていないが、原告にとって大きな一歩。これからもたたかい続ける」と言葉を詰まらせながら語りました。