2007年11月10日(土)「しんぶん赤旗」

米国ホームレス

4人に1人 退役軍人

イラク帰還兵 深刻な戦争後遺症


 【ワシントン=山崎伸治】米国でホームレス状態にある人の四人に一人は退役軍人であることが民間組織の調査でわかりました。十八歳以上の人口に占める退役軍人は11%であり、一般の人の二倍以上の割合でホームレスとなっていることになります。イラク、アフガン戦争の長期化でさらに増えることが懸念されています。


 全米ホームレス根絶連合が退役軍人省と国勢調査局のデータをもとに推算し、十一日の退役軍人の日を前に公表した報告書で明らかにしました。

 それによると二〇〇六年には、常時十九万五千八百人の退役軍人がホームレス状態にあると推計。これは七十四万四千人のホームレス人口の約26%にあたります。さらに同年にホームレス状態を経験した退役軍人の総数は四十九万五千四百人と推計しています。

 報告はホームレスとなる理由として、(1)収入不足(2)身体的な障害(3)精神面の障害(4)薬物依存(5)社会的つながりの弱さ(6)社会保障制度の欠如―を指摘。一般の人がホームレスとなる理由と変わらないものの、長期にわたって家族・友人の支えがないことや訓練・勤務から来るストレスなど、退役軍人には乗り越えなければならない課題が多いと分析しています。

 特にイラク、アフガニスタンからの帰還兵の置かれている状況は深刻です。帰還兵のうち二十―二十四歳では失業率が15%にものぼっています。二万人以上が身体に障害を持ち、イラク帰還兵の19%、アフガニスタン帰還兵の11・3%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)など精神面での障害に悩まされていると指摘。ホームレスになる危険が高いことを強調しています。

 報告は「ホームレスや低所得者には予算や政策をめぐる環境がますます厳しくなっている」と懸念を示しつつ、退役軍人のための住宅支援事業などの措置を実施するよう求めています。



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