2007年11月10日(土)「しんぶん赤旗」
最低賃金改定法案・労働契約法案
高橋議員の反対討論(大要)
最低賃金改定法案と労働契約法案を採決した衆院厚生労働委員会で七日、日本共産党の高橋千鶴子議員が行った反対討論の大要は次の通りです。
ワーキングプアなど働く貧困層の拡大に象徴される雇用・労働をめぐる深刻な実態は、日本の将来を左右する重大な社会問題になっています。
継続審議になっていた労働三法案は、十分に質疑が行われることが期待されていましたが、今国会でも参考人質疑も行われないまま、審議時間は通常国会と合わせてもわずか二十三時間半と極めて不十分であり、拙速な採決は認められません。
労働契約法案に反対する主な理由は、就業規則による労働条件の不利益変更法理を立法化しているからです。判例が確立した判断要素を後退させて立法化されています。
有期雇用契約の反復更新は、使用者に配慮を求めるにとどまっており、先の見通しのもてない不安定な生活を強いられている非正規労働者の働き方を改善するものではありません。解雇の金銭解決制度などが引き続き検討課題とされており、労働法制のさらなる規制緩和に向けた受け皿づくりに結びつく法案を成立させることは許されません。
最低賃金法改正案に反対する第一の理由は、労働者・国民の切実な願いである現行最低賃金の抜本的引き上げに結びつかないからです。
最低賃金の水準が生活保護の水準を下回るという異常な状態の解消は、当然のことです。しかし、多くの労働者・国民は時給千円以上の最低賃金引き上げを要求しています。年収換算で二百万円程度という水準であり、ワーキングプア、貧困問題の解決のためには最低限の要求です。
ところが政府は、最低生計費の水準を明らかにせず、生活保護とのどのような整合性を図るのかも不明です。一方で、生活保護水準の切り下げが議論されており、連動して最低賃金が引き下げられる懸念すらあります。
第二の反対理由は、地域別最低賃金を任意から必須とし、地域格差を固定化するからです。全国一律最低賃金こそ実現するべきです。
産業別最低賃金は、廃止すべきとの意見もあるなか、存続されたことは重要ですが、罰則が適用除外されました。労働協約拡張方式(労働協約を産業別最賃に広げる方式)が廃止されることも、現行制度からの後退であり認められません。
労働契約法案に対する修正案は、就業規則による労働条件の不利益変更法理を法律化するという仕組みを何ら改善するものではありません。
最低賃金法の一部改正案に対する修正案は、生活保護法の本来の原則である憲法第二五条の規定を重ねてのべたにすぎず、原案を改善させる保障にはなりえません。