2007年11月9日(金)「しんぶん赤旗」
イラク・アフガン
民間「雇い兵」急増
税金注ぎ軍事民営化
国連部会報告
【ワシントン=鎌塚由美】国連人権理事会の「雇い兵の使用に関する作業部会」は七日、イラクやアフガニスタンで「民間警備・軍事会社」の名の下で活動する「雇い兵」が急増していると述べた報告を国連総会に提出しました。
報告は、「一部の国連加盟国が、過去十年にわたり、多様な軍事的機能を外部委託・民営化してきた結果、民間軍事・警備会社が急増している」とし、「アフガニスタン、イラクでの紛争にかかわる、民間軍事・警備会社の数は驚異的な増加」を遂げていることを指摘しました。
報告は、「民間警備・軍事会社」の「警備員」などと呼ばれるものの実態は、「雇い兵制度の新たな様式」だと述べています。
イラク戦争では、米国防総省や国務省が元米軍特殊部隊員などを雇う「民間軍事・警備会社」と契約し、これらの会社に多額の税金をつぎ込んで関連産業を急成長させています。九月には米外交官を警備していた米ブラックウォーター社の要員がイラク市民に一方的に発砲し十七人を殺害する事件が発生。雇い兵問題があらためて注目されました。
報告は、雇い兵による人権侵害の責任が問われるのは、雇い兵を提供する企業と契約を結ぶ政府だと警告し、政府の直接の管理下で活動している場合などは、なおさらであると指摘しました。
「雇い兵使用に関する作業部会」は、国連人権理事会の決議に基づき〇五年に創設されました。人権理事会は、同作業部会に、雇い兵の活動が「人権や民族自決権にあたえる影響」などを監視することを付託しています。
国連総会は一九八九年に、雇い兵の使用は民族自決などの国際法の原則をおかすものだとし、雇い兵の使用、訓練などを禁止する条約を採択。同条約は二〇〇一年十月、9・11同時テロ直後に発効しました。現在批准国は三十カ国です。
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