2007年11月8日(木)「しんぶん赤旗」
「脱ブッシュ」提言
外交政策で次期大統領に
民間団体
【ワシントン=山崎伸治】アーミテージ元米国務副長官とナイ元米国防次官補が座長を務める研究グループは六日、次期米大統領に対する外交提言をまとめた報告を発表しました。世界中で悪化する米国の「イメージと影響力」を回復するため、軍事力と経済力に加え、対外援助や外交などの「ソフトパワー」を重視するよう求めるなど、「脱ブッシュ」の方向を強く打ち出しています。
報告は米国の「影響力の衰え」に危機感を表明し、原因の第一にイラク戦争を指摘しました。
中国について、米国が中東に没入している間に世界中で影響力を広げていると警戒感を表明。しかし「米中両国が世界的な影響力の面でたたかい、衝突する道にあるわけではない」として、中国の「ソフトパワー」の限界や米中の協力の可能性を指摘しています。
そして次の米大統領がだれになろうと、米政府がとるべき方策として、(1)同盟関係の再活性化(2)地球的規模の開発支援(3)市民レベルの外交(パブリック・ディプロマシー)の推進(4)国内外での経済的格差の是正(5)環境問題での技術革新―の五つをあげています。
研究グループは米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が設置。アーミテージ、ナイ両氏を座長に、現職・元職の上院議員や元最高裁判事、元米軍司令官ら十八人が委員を務めています。