2007年11月8日(木)「しんぶん赤旗」

主張

小沢氏辞意撤回

これではとても納得得られぬ


 民主党の小沢一郎代表が、民主党の両院議員懇談会と記者会見で、三日前の「辞意表明」を正式に撤回し、代表の座にとどまることを明らかにしました。

 小沢氏の辞意表明は、自民党の福田康夫総裁(首相)との党首会談で自・民の「大連立」を協議し、党内からも拒否されたことによるものです。参院選で示された「自公政治ノー」の民意を踏みにじった小沢氏はもちろん、その小沢氏を慰留し、無条件で続投を認めた民主党も、国民への背信が問われることになります。

国民への背信行為

 自民・民主の突然の党首会談、国民があぜんとする「大連立」話、その「大連立」を党内から拒否された小沢代表の唐突な辞意表明、それに対する民主党の慰留工作、小沢氏の一転しての辞意撤回…ここ数日のめまぐるしい動きに、驚きどころか、怒りを覚えた方が多かったのではないでしょうか。

 民主党が「自公政治ノー」を掲げた参院選挙からわずか三カ月です。選挙後最初の本格的な国会で自公政権を追い詰めているはずの民主党の党首が、自民党に救いの手を差し伸べ、「大連立」は拒否した党側も小沢氏の辞意表明には党ぐるみで慰留し、留任させる。小沢氏だけでなく民主党全体が、国民の願いを裏切ったとの批判を免れません。

 衆院で議席の三分の二以上を占める自・公と、参院で議席の多数を占める民主党との「大連立」は、自民党の政権を延命させ、自衛隊の海外派兵でも改憲でも、思いのままの体制をつくることになります。未遂に終わったにしても、「大連立」に前のめりで動いたこと自体、参院選での「自公政治ノー」の審判に反しています。

 党首会談では、自衛隊を海外に派兵するための、恒久的な法律づくりまで話し合ったといいます。国連の決議があれば武力行使のためでも自衛隊を海外に派兵できるとなれば、政府のこれまでの憲法解釈さえ大転換します。どさくさにまぎれ、そんなことまで合意したとすれば、それこそ国民への重大な裏切りです。

 小沢氏も民主党も国民の前に党首会談の内容をすべて明らかにし、民意に背いたことを反省すべきなのに、両院議員懇談会の説明でも、小沢氏の記者会見でもそれはありませんでした。それどころか小沢氏は、「政権参加で公約実現をめざした」などと、自民党との「大連立」に動いたこと自体は、正当化しました。

 小沢氏は、今後は一転、「政策協議や連立という方法をとらず、日常活動を強化し、政権交代をめざしていく」といいますが、それだけでは責任は免れません。しかも、民主党が自民党との「大連立」を進めないことさえ辞意撤回の条件とせず、無条件で留任させたのはいったいどういうことか。民主党全体が小沢氏と同じ立場になったことを意味するのか。国民にはまったく説明がつかない、筋の通らない対応です。

二大政党づくりの破たん

 「大連立」をめざす動きがここまで表ざたになった以上、民主党の「反自公」という主張にも、「二大政党」で政権を争うという「二大政党づくり」の動きにも、国民が何一つ期待できないことは明白です。

 内政でも外交でも、自民党の政治は、行き詰まっています。その政治を変えるために、福田政権に正面から対決し、自民党政治を根本から変える方針を掲げる日本共産党が、国民とともに力をつくすことの重みが、いよいよはっきりしてきました。


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