2007年11月8日(木)「しんぶん赤旗」
統制強化 授業を増
中教審部会 指導要領改定へまとめ
学習指導要領の改定について審議してきた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の教育課程部会は七日、「審議のまとめ」を決定しました。
「まとめ」は「改定教育基本法において…伝統や文化を尊重し、我が国と郷土を愛する…態度を養うことなどが教育の目標として規定されたことを踏まえ、各教科の教育内容を改善する」とのべ、「道徳教育」や「伝統や文化に関する教育」の充実を掲げています。
各教科の「重点指導事項例」を示し、それを子どもが身につけているか全国学力テストなどを通してチェックする仕組みをつくるなど教育内容への国家統制を強める方向です。
日本の子どもたちの学力について「活用力」に課題があるとしました。その背景・原因を「知識・技能を活用する学習活動のためには授業時数が十分でない」として、算数・数学、理科などを中心に現行より時間数を増やし、小学一、二年で週当たり二時間、小学三―六年と中学の全学年で同一時間の増加が必要だとしています。
前回の「学習内容三割削減」で削られた「多位数の計算」(小学校)、「生物の進化」(中学校)など多くの項目が復活しています。
総合的な学習の時間については小中学校とも縮減し、中学校の選択教科も削減。小学校での「外国語(英語)活動」の時間を新設し、中学校の体育では武道の必修化を打ち出しています。
一方で、「教師が子どもと向き合う時間の確保」などの条件整備が必要との認識を示しました。
日本共産党の石井郁子・国会議員団文部科学部会長は談話を発表し、「改悪された教育基本法の具体化として、教育課程への国家統制を強めるものだ」と批判しました。
中教審は今後、十二月か翌年一月に答申を提出。文科省は今年度中に学習指導要領を改定する計画です。
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