2007年11月4日(日)「しんぶん赤旗」
妊産婦搬送
7割で受け入れできない経験
総合周産期母子医療センター 大半が「病床不足」
リスクの高い妊産婦や新生児に対応する「総合周産期母子医療センター」のうち、二〇〇五年度に妊産婦の搬送受け入れができなかった経験がある施設が約七割にのぼることが、厚生労働省の調査でわかりました。ベッド不足のために患者が受け入れられない実態が浮き彫りになりました。
同センターは現在、四十一都道府県に計六十七施設あります。調査は、今年一月時点に設置されていた五十八施設を対象に調べたものです。
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調査結果によると、母体の搬送受け入れができなかった施設は、回答した四十二施設のうち、三十一施設(73・8%)ありました。理由(複数回答)をみると、「NICU(新生児集中治療室)満床」が88%と最も多く、「MFICU(母体・胎児集中治療室)満床」48%、「診察可能医師不在」16%でした(グラフ)。大半の施設が、病床不足をあげました。
新生児については、回答した四十一施設のうち、二十五施設(60・9%)が受け入れられなかったことがあると回答。九割が「NICU満床」を理由にあげました。
NICUの利用率は五十三施設が回答し、約九割の四十九施設が80%を超えていました。うち六施設は100%以上でした。多くの施設で、常にほぼ満床状態にある現状が示されました。
NICUを出たり、点滴などの処置が必要な新生児のための後方病床については、「不足している」と答えた都道府県が二十五ありました。「不足していない」と答えたのは五県だけでした。
総合周産期母子医療センター 合併症のある妊娠や重い妊娠中毒症、胎児の異常など、リスクの高い妊産婦や新生児を、二十四時間体制で受け入れる医療施設。新生児集中治療室などを備えた病院を対象に、都道府県が指定します。厚労省は〇七年度中に全都道府県での設置をめざしていますが、奈良など六県には、まだ設置されていません。
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