2007年11月4日(日)「しんぶん赤旗」

主張

自・民党首会談

民意を裏切る「密室談合」


 自民党の福田康夫総裁(首相)と民主党の小沢一郎代表との党首会談が開かれ、一日で期限切れしたテロ特別措置法にもとづく給油活動の継続などが話し合われました。

 テロ特措法の延長が不可能になり、新しい法案の審議が始まったばかりなのに、その審議まで中断して二党だけで協議すること自体、国会軽視の「密室談合」そのものです。しかも、驚くことには、自・民の「大連立」まで話し合われたというのです。「大連立」は民主党内の反対で拒否されたとはいえ、こうした会談がもたれ、「大連立」が話し合われたこと自体、夏の参院選挙で示された国民の意思を裏切るものです。

正規の審議を押しのけて

 もともと、テロ特措法にもとづくインド洋での海上自衛隊の給油活動は、アメリカが始めたアフガニスタンへの「報復」戦争を支援するためのものです。「報復」戦争ではテロがなくせないことが明らかになり、自衛隊の給油活動がアフガニスタン国民などの殺りくを支援しているとの批判が高まるなかで、政府がもくろんだテロ特措法の延長は不可能になりました。国民世論が政府を追い詰めた結果です。

 政府は、給油活動継続のための新テロ特措法案を提出しましたが、その審議はようやく十月末に始まり、委員会での野党質問は三十日が初日でした。ところが突然党首会談が開かれることになったため、午前中の委員会は中止、会談が継続されたことを理由に、三十一日に予定された福田政権初の党首討論も中止になったのです。本来全会派でおこなうべき政党間協議が二党だけというのも異常です。「密室談合」による、議会制民主主義の蹂躙(じゅうりん)は明らかです。

 しかも、二日の党首会談で突然明るみに出たのが、自・民の「大連立」の話し合いです。参院選挙で民主は「反自公」を掲げて選挙をたたかい、自民も激しい民主「批判」を繰り広げました。選挙の結果、国民は自公の政治にきびしい審判を下し、民主党は議席を伸ばしました。そのほとぼりも冷めないうちに、なぜ自民と民主の「大連立」の話になるのか。しかも即座に拒否することなく、なぜ小沢代表は提案を持ち帰ったのか。参院選での国民の審判を足げにする民意無視のきわみであり、福田氏にも小沢氏にも、国民の納得のいく説明が求められます。

 福田氏は「大連立」について、滞っている政策を実行する「新体制」をつくるものだと発言しています。自民と民主が「大連立」すれば、衆院でも参院でも議席の八、九割を占めることになります。テロ新法どころか改憲まで、国民の意思にかかわりなく、思いのままです。戦前の「大政翼賛会」を復活させるような企てを、絶対に許すことはできません。

派兵恒久法は許されない

 党首会談の議題となった給油活動の継続についても重大な問題が浮上しました。自衛隊の海外派兵を個別の特措法でおこなうのではなく、恒久的な派兵法をつくるというのです。憲法違反の海外派兵のための、まさに恒久的な憲法違反法です。

 日本共産党の志位和夫委員長は、党首会談の直前、派兵恒久法協議の危険を強く指摘しました。会談はその指摘を裏付けたわけです。

 二日の会談では、小沢氏が恒久法を検討するなら新テロ特措法案成立に協力するとまで、発言したと伝えられました。いったい、給油は憲法違反だとまでいって反対してきたのはどうなるのか。この点でも福田、小沢両氏の説明責任は免れません。


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