2007年11月4日(日)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度に異議

281議会、意見書

国民の怒りが動かす


 来年四月から始まる後期高齢者医療制度の実施を目前にして、二百八十を超える地方議会が制度の見直しなどを求める意見書を可決したことがわかりました。中央社会保障推進協議会と本紙の調査です。「中止・撤回」を強く求める意見書もあります。国の高齢者いじめの政策に、地方からの強い異議申し立てです。

 意見書を可決したのは、岩手、福島、長野、富山、和歌山、徳島、香川、高知、鹿児島、沖縄の十県議会と、二百七十一の市区町村議会です。

 「中止・撤回を求める意見書」を全会一致で可決したのは、奈良県下市(しもいち)町議会です。

 日本共産党以外の議員からも、「『見直し』ではすまない」など制度を厳しく批判する意見が出されました。「老後の生活を脅かすばかりで到底認めることが出来ません」と、制度の中止・撤回をきっぱりと求めました。

 「凍結を求める意見書」を全会一致で可決したのは、福島県議会です。「高齢者の暮らしと健康保持にとって重大な悪影響を及ぼすことは必至」だとして、実施を凍結するよう強く求めています。昨年の知事選や今年の参院選で厳しい審判を受けた自民党は、制度の中身があまりにも厳しいことを認めざるをえず、意見書に反対できませんでした。

 こうしたなか自民・公明の与党は十月三十日、高齢者医療費負担増の一部を「凍結」することで合意しました。国民の怒りが与党を追い込み、政治を動かした結果です。

 しかし、今回の与党の合意は、(1)七十―七十四歳の窓口負担の引き上げ(一割↓二割)を一年間先送り(2)七十五歳以上の千三百万人のうち、新たに保険料を負担する二百万人のみ半年間は保険料を徴収しない―など、制度改悪の一部を先送りするだけの内容です。

 日本共産党は、「『後期高齢者医療制度』の来年実施を中止させよう」というアピールを発表。同制度を中止に追い込むため、党派や立場を超えて共同することを広く呼びかけています。

 いま、障害者自立支援法や薬害肝炎問題、原爆症認定基準の見直しなど、国民生活のさまざまな分野で変化が起きています。今こそ、国民の声と運動で政治を動かすときです。


 後期高齢者医療制度 昨年六月に自民、公明両党が強行成立させたもの。七十五歳以上の高齢者に重い保険料負担とまずしい医療内容を押し付ける内容です。年金額が月一万五千円以上の人は年金から保険料を天引きします。保険料が払えない人からは保険証を取り上げ、「資格証明書」を発行することも法律に明記されています。


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