2007年11月2日(金)「しんぶん赤旗」
イラク撤退明言
世論の8割、駐留反対
ポーランド次期首相
【ベルリン=中村美弥子】ポーランドの総選挙で勝利し、次期首相と目されている市民プラットフォーム(PO)のドナルド・トゥスク党首は十月三十一日付ポルスカ紙のインタビューで、来年中に自国軍部隊をイラクから撤退させたいとの考えを示しました。
ワルシャワからの報道によると、トゥスク氏は「二〇〇八年に部隊の派遣を終わらせたい」と明言。ブッシュ米政権がミサイル防衛計画(MD)の一環として同国に受け入れを迫っている迎撃ミサイル発射基地については、「最終決定を下す前に基地がポーランドの安全を高めるのか損なうのか知る必要がある」と述べ、慎重な見方を示しました。
POは二十一日の総選挙でイラク問題を争点に掲げ、同国軍部隊のイラク駐留を絶対視するカチンスキ首相率いる「法と正義」を抑えて第一党に躍進しました。
世論は圧倒的に部隊引き揚げを求めています。最新の世論調査によると、回答者の81%が自国軍部隊のイラク駐留に反対。アフガニスタン駐留反対は77%でした。また、イラクとアフガンへの参戦が自国をテロの標的にしたと考える人は72%に上りました。
ポーランドは現在、イラクに九百人規模の部隊を駐留させています。これまでに兵士二十一人が死亡したほか、十月三日にはポーランド大使がバグダッドで攻撃に遭い負傷しました。
同国は、〇三年の米英主導のイラク侵略に参加。戦闘終結後にイラク中南部に二千四百人の部隊を駐留させ、同地域の多国籍軍部隊を指揮するなど、米国の最も忠実な同盟国の一つとして「対テロ戦争」に協力してきました。
米国に次ぐ兵力をイラクに送り込んでいた英国もすでに駐留部隊の削減・撤退の方向を打ち出しています。ポーランドがこれに続く可能性が強まったことは、米ブッシュ政権の対イラク戦略での国際的孤立を一段と際立たせるものです。
■関連キーワード