2007年10月29日(月)「しんぶん赤旗」

主張

障害者自立支援法

応益負担の廃止こそ


 開会中の臨時国会で、障害者自立支援法の見直しは焦点の一つです。福田内閣は世論と障害者の運動におされ、「障害者自立支援法の抜本的見直しを検討する」(自公連立政権合意)との方針を打ち出しています。障害者、家族の声にこたえる「見直し」を早急におこなうべきです。

社会参加阻む深刻な事態

 障害者自立支援法が実施されて一年半、定率一割の応益負担は予想を超える深刻な影響をもたらしています。厚生労働省の調査でも、利用者負担増を理由に施設利用を中止した人は千六百二十五人(二〇〇七年二月)にのぼります。

 日本共産党国会議員団が実施した障害者施設・事業所の調査(第二回)では、負担が月額一万円以上増えた人が約六割に及び、「施設利用を中止・減らした」「外出を控えるようになった」など社会参加の機会を奪われた深刻な実態が浮き彫りになりました。報酬引き下げで、事業所運営も危機的な事態に直面しています。

 政府は昨年末、批判におされて千二百億円にのぼる負担軽減等の「特別対策」(〇六―〇八年度)を実施しましたが、日本共産党の調査でも「不十分」だとの声が圧倒的です。応益負担は「廃止すべき」だとの回答が九割にも達しています。

 応益負担は、障害が重い人ほど負担が大きくなるという構造的な欠陥をもつ制度です。食事や入浴、外出など障害者が人間らしく生きるために最低限必要な支援を「益」とみなして負担を課すこの仕組みは、憲法二五条の生存権理念に反します。廃止以外にありません。

 日本共産党の市田忠義書記局長は、参院本会議の代表質問(五日)で障害者自立支援法問題を取り上げ、「心を開き、確かな成長をはじめた子が、また部屋に閉じこもるようになった。この子の成長と発達をどうして止めるのか」という母親の悲痛な声を紹介し、福田首相に福祉サービスと自立支援医療における応益負担制度の廃止を強く求めました。首相は「抜本的な見直しにむけ、制度全体にわたる議論を行う」と答弁しましたが、事態は一刻の猶予もなりません。政府・与党は、早急に「見直し」の内容を具体化し、障害者・家族の願いにこたえるべきです。

 野党が多数を占める参院に、民主党が「障害者自立支援法改正案」を提出しています。所得保障が充実するまでの「当分の間」、福祉サービスの利用者負担を所得に応じた「応能負担」に戻すというものです。

 日本共産党は、参院選で生まれた新しい力関係のもとでの国会で、一致点での共同を進め、障害者の利益を一歩でも二歩でも実らせるために力をつくします。同時に、自立支援法の根本問題である応益負担制度の廃止を実現するために全力をあげます。障害者の社会参加を進めるこうした法改正こそ、日本政府も署名した国連の「障害者権利条約」の趣旨に沿うものです。

障害者の声にこたえよ

 障害者や関係者は三十日、東京・日比谷野外音楽堂で、障害者自立支援法の見直しを求めて大集会を開きます。応益負担廃止に必要な財源は年五百十億円、米軍再編予算三兆円の六十分の一にすぎず、税金のムダづかいをごく一部ただすだけで捻出(ねんしゅつ)できます。消費税の増税など必要ありません。

 日本共産党は、一貫して応益負担の廃止を主張してきた党として、障害者・家族の運動と連帯し、応益負担の廃止、障害者自立支援法の抜本的見直しの実現へ全力をあげます。



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