2007年10月29日(月)「しんぶん赤旗」
イラクでの戦争と占領反対
米11都市 多彩に
ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなど大都市を含む全米十一都市で二十七日、いっせい反戦行動が行われ十万人以上が参加しました。全米最大の反戦組織「平和と正義のための連合」(UFPJ)が呼びかけたもの。全国規模の一斉行動は初めてで、ダイイン、人間の鎖など多彩なデモが繰り広げられました。「全国行動の日」として反戦デモが行われたのは、ボストン、シカゴなどの各都市。UFPJのレスリー・ケーガン事務局長は同日、「イラクでの戦争と占領をやめさせる真の国民運動は今日、新たな発展段階に達した」と指摘し、反戦運動をいっそう広げる決意を表明しました。(フィラデルフィア=鎌塚由美)
「人間の鎖」に激励 フィラデルフィア8千人が参加
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【フィラデルフィア=鎌塚由美】東海岸のフィラデルフィアには、ペンシルベニア州各地や、近隣州のニュージャージー、デラウェア、ワシントンDC、メリーランド、バージニアからの八千人が参加。雨天にもかかわらず、参加者は各地からバスや「ピーストレイン」を組織して駆けつけました。
米独立宣言ゆかりの地「インディペンデンス国立歴史公園」での集会時には雨が完全にやみ、「今こそ戦争をやめるときだ」「イラクから出て行け」などと書かれたプラカードの花が咲きました。参加者は、この日三千八百三十八人となった戦死米兵と、百万人を超えるともいわれるイラク市民犠牲者を追悼し、黙とう。イラク帰還兵や戦死兵士の母親が「もうこれ以上、殺してはならない」「私たちはこの戦争をやめさせるまで運動をやめない」と訴え、大きな拍手を受けました。
集会に先立ち、参加者は市内の退役軍人病院から「公園」までの約二キロを「人間の鎖」でつなぎ、道行く車に「平和のためにクラクションを鳴らして」と訴えました。「公園」までのデモ行進中も、車に乗った市民からは引っ切り無しに激励のクラクションが鳴らされました。
フィラデルフィア郊外から参加した大学一年生のニック・ヒラーさん(18)は、開戦前から続いている地元での毎週の反戦行動に戦争支持派が妨害を始めたことを知り、二カ月前から反戦グループに参加し始めたといいます。「ずっと戦争には反対でしたが、街頭に出て反戦の意思を示すことが今こそ大事だと思いました。大学でも反戦組織を立ち上げる準備を進めています」と語っていました。
“子らを徴兵させない”
シカゴ1万人
【シカゴ=山崎伸治】米中西部イリノイ州シカゴでは、同州のほか周辺のインディアナ、ミシガン、ウィスコンシン、アイオワ、ミズーリ、ミネソタの各州からもバスなどで集まり、一万人近くが参加しました。
インディアナポリスから三時間、車を運転してきたダン・ミラーさん(59)は「こんなことしてどうなるんだ、と言う人もいるが、私は何もしなかったと言われたくないからね」と手製のパネルを持参しました。
ウィスコンシン州の州都マディソンの大学で働くミッツィ・ミラーさん(50)には十八、十九、二十二歳の三人の子どもがいます。「この子たちが徴兵されないよう、声をあげます」。ミシガン州北部トラバースから参加のマリアン・クロムコースキーさん(53)は「町で宣伝しても激励されます。戦争はまったく支持されていませんよ」と言います。
シカゴ市西側のユニオン公園での集会では、イリノイ州選出のジャニス・シャコースキー、ダニー・デービス両民主党下院議員のほか、反戦活動家らが次々と訴えました。イラク人活動家のライド・ジャラルさんは「米軍は『イラクで宗派間闘争をなくす』というが、私の父はスンニ派で母はシーア派だ。家族のことに口をはさんでほしくない」と述べ、喝さいを浴びました。
参加者は同公園から、次の集会会場となった市内中心部のフェデラル広場までの約四キロをデモ行進。「イラクから出て行け、イランに手を出すな」と書かれたプラカードや横断幕などを掲げ、気勢をあげました。
市長も反戦演説
ソルトレークシティー1000人
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ソルトレークシティーでは、州議事堂からデモ行進が出発し、終点のダウンタウンにある広場で集会が開かれました。親子連れや、学生など若い人たちの姿が多くみられました。ユタ州だけでなく隣のアイダホ州から来た人も含め千人が参加し、人々の熱気に圧倒されました。
「米兵が家に帰れるよう支援しよう」「イラク占領を終わらせよう」と書かれたプラカード、州ごとに米兵の戦死者の数を書いたプレートが多く、「進入禁止」の道路標識を模して「戦争は間違い」と書いたステッカーを胸や背中に付けている人も目立ちました。
集会は、「大量破壊兵器が見つかっていないのに、なぜ米兵はまだイラクにいるのか」「70%の国民が反対しているのに、なぜ米兵はまだイラクにいるのか」という問いかけに観衆から「いい質問だ」と合いの手が入りテンポよくスタート。ブッシュ大統領やチェイニー副大統領を皮肉ったカントリーミュージックの演奏があり、最後は反戦の意思を表明しているソルトレークシティーのアンダーソン市長が演説を行いました。(ソルトレークシティー在住 高橋暁子 写真も)
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