2007年10月27日(土)「しんぶん赤旗」
主張
全国一律最賃制
世論で国会を動かすとき
日本共産党国会議員団は二十二日、「最低賃金制改善のための日本共産党の要求」を発表しました。最低賃金をめぐる情勢は、新たな局面を迎えています。今国会には、最低賃金法の政府案とともに民主党の修正案が提出されています。連合は、民主党にたいして、政府案と民主党案の内容を調整して、「早期成立」をはかるように働きかけています。最低賃金法案が修正・可決される可能性も生まれています。
最賃闘争を前進させた力
最低賃金の問題が、いま国会で重視されるようになったのは、全労連や連合をはじめとした労働組合のねばり強い取り組みがあったからです。全労連は、全国一律最低賃金制の実現と時給千円への大幅引き上げなどを掲げて、広範な民主団体とも協力して、全国各地で多彩な行動をくりひろげました。街頭での宣伝・署名や最低賃金の平均額にあわせた六百七十三分(十一時間十三分)のハンガーストライキ、商店街での「最賃上げて買い物しよう」との宣伝など創意的に行動しました。
これらの取り組みは、広範な国民の共感を呼びました。自公政権の弱肉強食の「構造改革」によって、一生懸命働いても、毎日の生活がおぼつかないワーキングプアと呼ばれる世帯数が四百万とも五百万ともいわれる深刻な貧困が広がっていることにたいする国民の危惧(きぐ)と怒りが、その根底にありました。
ことし一月の通常国会で、日本共産党の志位委員長が代表質問で、最低賃金問題を取り上げ、時給千円、全国一律最低賃金制確立を要求したことは、最低賃金問題の国会論戦をリードするものとなりました。
こうしたなかで、ことしの最低賃金額は、ほぼ十年ぶりに二ケタアップの全国加重平均十四円引き上げ(六百八十七円)を実現しました。
いま、これまでの闘争の到達点を踏まえて、全国一律最低賃金制の実現に向けてたたかいを大きく飛躍させることが求められています。
党国会議員団の「最低賃金制改善のための日本共産党の要求」では、生計費原則にもとづく最低賃金額の設定、全国一律最低賃金制の確立と当面最低賃金額の時給千円への引き上げなどを要求しています。
重要なことは、民主党案も、最低賃金額の生計費原則にもとづく設定、全国最低賃金制の二つの点では一致していることです。この二つの要求は、全労連など広範な民主団体とも共通しています。
参院選の結果を受けた国会の新しい力関係のもとで、政府も国民の声にある程度でも耳を傾けなければ、国会運営ができないという状況があります。しかも、参院では自公が過半数を割る状況が生まれています。
この新しい状況を生かして、広範な労働組合・労働者が一致する二つの要求を反映した最低賃金法案を運動の強化で実現していくことが急務になっています。
全国から運動をもちより
二十八日に開かれる「ストップ改憲! 許すな消費税増税! なくせ貧困! いのちとくらし・雇用を守れ10・28国民大集会」を成功させ、これを跳躍台として、全国各地から全国一律最低賃金制実現の行動を巻き起こしましょう。
地域から宣伝を強め、世論の力を結集し、全国一律最賃制実現の取り組みを強めましょう。テロ特措法反対などの国会行動とも結んで、国会議員要請行動、メールも活用した要請などをおこないましょう。日本共産党も全力をあげます。
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