2007年10月26日(金)「しんぶん赤旗」
“生活保護で子育てできた”
貧困根絶と25条考える
公的扶助研究セミナー
大阪・堺
「貧困の根絶と人間らしい暮らしの実現を求めて、あらためて憲法二五条の存在意義を考える」をテーマにする第四十回公的扶助研究全国セミナーが二十五日、大阪府堺市内で始まりました。
福祉事務所で働くケースワーカー、研究者、福祉労働者で構成する全国公的扶助研究会、同セミナー実行委員会の主催。二十七日まで三日間にわたり討論、交流します。
全国から三百五十人が参加。今村雅夫実行委員会事務局長が基調報告をしました。
今村氏は、「骨太方針二〇〇六」に基づき厚生労働省が生活保護の「生活扶助基準に関する検討会」を設置、〇八年度予算編成に向けて保護基準を引き下げようとしていると指摘。所得格差が拡大し、ワーキングプア(働く貧困層)が急増するなかで生活扶助基準を引き下げれば際限のない貧困化の悪循環を生み出すと批判しました。生活保護の違法な運用が全国的に広がるなか、市民団体や法律家によって保護制度と運用を改善させる運動が発展していると述べ、ケースワーカーや福祉関係者は生活保護の役割をしっかりとらえ、人権感覚を持ち、生活に困り相談に訪れる人に寄り添う取り組みが重要だと強調しました。
リレートークでは、北九州市で起きた生活保護の違法をただすたたかい、首都圏生活保護支援法律家ネットワークの取り組みが報告され、生活保護制度を利用し五人の子に高校を卒業させた全京都生活と健康を守る会連合会の江守順子さん(63)は、「生活保護は税金をむだにするものではない。人が人を育てる制度だ」と訴えました。
松崎喜良実行委員長(神戸女子大学准教授)が主催者あいさつ。木村達也弁護士(全国クレジット・サラ金問題対策協議会代表幹事)が「格差社会における生活保護の役割」と題して講演しました。
二十六日は十一のテーマで分科会、政策研究講座「今日の貧困問題と生存権保障の展望を考える」などを開きます。
■関連キーワード