2007年10月26日(金)「しんぶん赤旗」
乳がん手術後の治療用 弾性スリーブ
療養費支給広がる
本紙報道きっかけに
乳がん手術後に起こるリンパ浮腫の治療用装具である、弾性スリーブや弾性ストッキングの療養費支給を社会保険事務所が認めるようになったのに続き、国民健康保険でも多くの市町村が認めるようになりました。
全国の十七政令市に問い合わせたところ、二十五日現在、十三市が申請を受け付けると回答しました。支給対象から除外しているのは札幌、横浜、川崎、浜松の四市のみでした。
これまで支給対象にしていなかった市でも、対応を転換。「ストッキングはすでに対象にしているが、スリーブについてはまだ申請がない。申請があれば検討する」(北九州市)など、前向きに対処する姿勢を示しています。
弾性スリーブ・ストッキングは、社会保険事務所でも市町村窓口でも、多くのところで療養費支給の対象外にしていました。
本紙四月二十四日付で、埼玉県川口市の女性が療養費支給をかちとったケースを報じたのを機に、各地でこの記事コピーをつけての申請が相次ぎ、認められる事例が続きました。市町村ごとに対応が違う国保でも、福岡市や神戸市が、検討の上、支給を認めるなど、急速に広がっています。
リンパ浮腫と弾性スリーブ・ストッキング リンパ浮腫は、乳がんの手術時にリンパ節を切除した場合、リンパ液の流れが悪くなって起こります。腕や脚がむくみ、重症化すると炎症を起こしやすくなったり、握力が低下したり歩行困難になったりと、日常生活に支障を与える病気で、患者は全国で十万人以上といわれます。この症状は、弾力のある生地で作られた弾性スリーブやストッキングといった医療装具の着用で軽減できます。スリーブは一本約四千円から一万数千円と高額です。